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皮膚生理学研究室(化粧品)
研究室からの
お知らせ

ラボダイアリー2026.07.04

国際交流企画講演会(イタリア・パドヴァ大学大森晶子先生)を開催しました

パドヴァ大学(イタリア)Veneto Institute of Molecular Medicine(VIMM)研究員であり、大阪大学招聘研究員でもある大森晶子先生をお招きし、国際交流企画講演会を開催しました。当日は薬学部教員と学生・大学院生、約30名が参加しました。

第1部:白髪はなぜ生じるのか——ミトコンドリアからのアプローチ

白髪の発生メカニズムには、いまだ解明されていない点が数多く残されています。大森先生は「The mitochondria-fusion protein Opa1 is required for melanocyte stem cell maintenance(ミトコンドリア融合タンパク質Opa1は、メラノサイト幹細胞の維持に必要である)」と題し、最新の研究成果をご講演くださいました。

ご講演の主な内容は以下の通りです。

  • 毛包サイクルの中で分化したメラノサイトを維持するには、ミトコンドリア内膜の融合に関与するOpa1(Optic Atrophy 1)が必要であること
  • マウスのメラノサイトでOpa1を条件的に欠損させると、メラノサイト幹細胞および分化したメラノサイトが毛周期を通じて減少し、早期の白髪化(graying)が誘導されたこと
  • メカニズムとして、Opa1を欠くメラノブラストでは、SCF刺激によるAKTのリン酸化が障害されていたこと

これらの知見から、Opa1はSCFからの下流シグナル伝達に影響し、メラノサイト幹細胞の恒常性維持に重要な役割を果たしていると考えられます。ミトコンドリアの機能異常が加齢に伴う白髪発生の一因となっている可能性を示す、興味深い内容でした。講演後は活発な質疑応答が行われ、参加者からは分子メカニズムや今後の研究展開について多くの質問が寄せられました。

第2部:海外での研究生活と「留学のすすめ」

講演の後半では、大森先生ご自身がパドヴァ大学に留学されたご経験や、現地で研究者として働くことについてお話しいただきました。パドヴァ大学は1222年創立、現存する大学としては世界で5番目!に古い歴史を持つ大学です。コペルニクスが医学を学び、ガリレオ・ガリレイが教鞭を執ったことでも知られています。1678年にはエレナ・コルナロ・ピスコピアが女性として世界で初めて哲学博士号を授与された場所でもあるとのご紹介がありました。

このような伝統ある大学で研究に取り組まれてきた大森先生から、留学前の準備や研究室選びの基準、留学を決意した経緯などを率直にお話しいただいたほか、パドヴァ大学に留学中の日本人を含む各国の研究者へのインタビュー動画も上映し、それぞれの立場から見た留学・博士号取得の意義や苦労についてご紹介いただきました。

講演終了後には、複数の学生が大森先生のもとを訪れ、留学や研究内容について個別に相談する姿も見られました。基礎研究の面白さだけでなく、研究者としてのキャリアの選択肢を具体的にイメージできる機会になったのではないかと思います。

おわりに

健常な毛包維持の分子メカニズムの最前線に触れると同時に、研究者としての生き方や海外挑戦のリアルな声を聞くことができた、大変充実した会となりました。今後もこのような国際交流セミナーを継続的に開催していきたいと考えています。(仁木)