メディア2021.11.03
【新刊案内】がん治療におけるアピアランスケアガイドライン2021年版
日々進歩するがん治療。抗がん剤治療や放射線治療が効果的に進められているものの、治療により、さまざまな皮膚症状の変化や脱毛などの副反応がおこり外見に影響を与えてしまう。がんの治療効果が優先されるため、このような副反応に対する予防法や治療法の検討は遅れていた。そこで2016年に国立がん研究センター中央病院 アピアランス支援センターの野澤桂子先生を中心に「がん患者に対するアピアランスケアの手引き(2016年版)」が出版され、客員教授の菅沼薫先生と南野は「日常整容」のパートを執筆・編集させていただきました。あれから5年経過し、今回、新しいEvidenceを反映させた改訂版「がん治療におけるアピアランスケアガイドライン2021年版」が出版されました。今回も野澤先生を中心に、日本がんサポーティブケア学会でアピアランスワーキンググループが編成され、私も「日常整容」担当の一員として参加しました。ガイドライン作成委員の多くの先生方とともに、システマティックレビューを行うなど「Minds(マインズ) 診療ガイドライン作成マニュアル2017(公益財団法人日本医療機能評価機構発行)」の手続きに則り厳密に作成されました。このガイドラインは、医師、看護師、薬剤師、その他の医療従事者の方に活用していただき、患者様とともに、より良いアピアランスケアの方法を選択するために一助になればという想いでつくられています。
がん治療の副反応の予防・治療については、まだまだ適正に実施された医療研究も少ないですが、化粧品を含むいろいろな研究が進み「根拠に基づく医療(Evidence-based medicine, EBM)」が深まることを願っています。(南野美紀)