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Cosmetic Science最新のトピック

客員教授からの
お知らせ

トピックス2022.09.09

顔と魅力: 魅力判断における視覚情報の統合

今月の顔学オンラインサロンの話題は、三枝千尋さん(花王株式会社 感覚科学研究所)による「顔と魅力」についてでした。

事前のご案内には、「私たちは人とすれ違う一瞬の間に、相手の顔から様々な情報を読み取っています。魅力もその一つですが、ごくわずかな時間のうちにどのような情報を抽出し、魅力を感じているのでしょうか?魅力の知覚における視覚情報の統合について、これまでに実施してきた研究知見をご紹介し、情報が統合される過程についてお話しします。」とありましたように、三枝さんの興味深い講演の後、大勢の参加者と様々に意見交換されました。

三枝さんの研究では、以下の4のことが明らかになったそうです。

  • 顔全体の魅力に与えるパーツの寄与度は観察時間によって変動するが、目は観察時間によらず常に強い影響を与えていること
  • 目の部分のみを提示した場合でも、観察時間が短い時に最も魅力度が高く評価され、時間が長くなるにつれて低下すること
  • 評価者を直視している顔の魅力知覚においては、顔全体の判断に対するパーツ情報の統合に要する時間が速くなること
  • 顔周辺情報である髪の魅力は顔全体の魅力に影響を与えるが、髪の魅力を評価した後に顔の魅力を評価した場合には効果が限定されること

そして、顔の魅力知覚はむしろ、時間と共に構成要素の情報統合のあり方が変動し、また社会的手がかりがその情報統合を促進するダイナミックなプロセスであると考えられるということでした。さらに、その後の研究で、多様性と魅力の意識調査(アンケート分析)を実施して、年齢によって魅力のとらえ方が違うなどの紹介がありました。

丁寧な実験と考察で、人が顔の魅力をどう判断しているのか、系統だって研究されています。さらに詳しく知りたい方は、三枝さんの論文がありますのでお読みいただければと思います。

次回の顔学サロンは対面開催の予定です。久々にリアルな顔と対面することになるでしょう。

客員教授 菅沼薫

 

■次回顔学サロン(顔学会イブニングセミナー)は対面開催となります。オンラインではありません。

日時:202210 11 日(火) 18002000

タイトル:「顔法への招待」 

講師:押田 良機先生 (インディアナ大学 名誉教授)

会場:アットビジネスセンター(別館)池袋駅前 8F 805 号室 池袋駅(東口)より徒歩 1 分程度

参加費: 1,000 円(当日受付でお支払い下さい)

講演概要:「顔法」とは、人の正面顔(輪郭、眉、目、鼻、口等の顔の部位)を用いた情報の表示、伝達手段の一方法で、特に有効な可視化効果にその重点があります。歴史的には1973 年に、MIT の統計数学者チェーノフが発表した論文が最初であり、多変数を同時にしかも可視化できる方法として、人の顔(顔の部位)を利用した方法です。本セミナーでは、情報の性質や伝達法を概説し、それら膨大な情報学の中で「顔法」の位置づけを試みました。続いて利用例として、一般社会生活分野、教育部門、医療部門、等々の応用例を紹介します。併せて、著者が発表した、天気情報の顔化、事故調査結果の顔化の例を紹介します。詳しくは日本顔学会ホームページをご覧ください。

なお、11月の顔学サロンはオンライン開催を予定しております。

 「顔学オンラインサロン」は、毎月1回火曜日の夜20時から90分、オンラインZoomで開かれています。日本顔学会の会員でなくても無料で参加できます。「顔」に関する様々な話題提供者の話を視聴したあと、参加者同士気軽に意見交換することができます。みなさまもぜひご参加ください。 

顔学オンラインサロン申込み