トピックス2024.04.23
「毛利清二の世界」 時代劇にみる刺青絵と絵師
顔学オンラインサロンも今回で56回目、4月9日は、山本芳美先生(都留文科大学教授・文化人類学)に話題提供いただきました。5月1日より開催する「毛利清二の世界 映画とテレビドラマを彩る刺青」展の見どころを実行委員でもある山本先生に紹介いただきました。
毛利清二氏とは、映画やテレビの時代劇に出演する役者に施される刺青絵の絵師の方です。代表的なのが、テレビ時代劇「遠山の金さん」の桜吹雪や東映の「仁義なき戦い」シリーズなど、サロンでのお話にもありましたが、おもちゃ映画ミュージアムのホームページに掲載のインタビュー記事によると40年以上にわたって高倉健や藤純子、高橋英樹などのスター150名以上、のべ2000名以上の俳優さんに刺青絵を描いてこられたそうです。同じくインタビュー記事によると、「『博打打ち 一匹竜』(1967年)でデビュー。それまで実際の刺青を見たことがなかったので、東京の彫師、初代彫文氏を紹介して頂き、本物の刺青、下絵や刺青を描くための道具を見せて貰い、京都に戻ってからは京都中の古書店を回って彫り物に使えそうな龍や牡丹などの錦絵を探して勉強されました。」とのことでした。1992年には日本アカデミー賞協会から功労賞を授与されました。
おもちゃ映画ミュージアム「毛利清二の世界」 チラシは「こちら」
俳優に施される刺青は配役に合わせた新たなデザインだっただろうし、また、映像の世界とはいえ本物らしく見えるように、また、美しく見えるように刺青絵を描くのは大変な作業だったと思われます。さらに、腕から身体にかけて広い面積にバランスよく描くことや、映像制作現場の時間も限られていることなどから、多くの工夫もされたことだろうと感じます。
そして、山本芳美・原田麻衣の共著『毛利清二と仕事』(仮題、青土社)が今年中には発行されるそうです。映画学研究者である山本先生自らがインタビューして、毛利清二氏の生の声を伝える内容になっているそうですので、本の発行も楽しみにしたいと思います。
次回の顔学オンラインサロン(5月14日)は、東京大学の山崎俊彦先生に話題提供いただきます。山崎先生は、マルチメディア、コンピュータビジョン、パターン認識、機械学習・深層学習、 言語処理、グラフィックスといった幅広い分野の研究に携わられております。今回は、その中から顔について昨今話題になり始めている『ディープフェイク』を題材としてご紹介いただきます。
次回も興味深い内容になると思います。どうぞご参加ください。
【客員教授 菅沼 薫】
【顔学オンラインサロン(第57回)のお知らせ】
2024年5月の顔学オンラインサロン(5月14日)は、東京大学の山崎俊彦先生に話題提供いただきます。山崎先生は、マルチメディア、コンピュータビジョン、パターン認識、機械学習・深層学習、 言語処理、グラフィックスといった幅広い分野の研究に携わられております。今回は、その中から顔について昨今話題になり始めている『ディープフェイク』を題材としてご紹介いただきます。たいへん興味深いお話が伺えると思いますので、是非、ご参集ください。
顔学オンラインサロンは夕食後に気軽に、顔そして顔学について語り合う場にしたいと思っております。非会員の方の参加も歓迎します。
【日時など】
日時:2024年5月14日(火)20時から(1時間半程度を予定)
会場:Zoomというオンライン会議システムを用いておこないます。
テーマ:その映像に映っている顔、本当にあなたで間違いないですか?
話題提供:山崎 俊彦 (東京大学大学院情報理工学系研究科教授)
趣旨:生成AIをはじめとするAI技術の発展に伴って、ディープフェイクと呼ばれる「偽物の」画像や映像が社会問題化しつつあります。特に人の顔を対象としたディープフェイク生成技術は、映画・ゲームなどのエンターテイメント業界への応用が期待され、技術の研究開発が進みます。また、それと同時にその技術を使ったフェイクポルノや政治・偽報道利用などの悪用も社会問題化するようになりました。「ディープフェイクがどんなにすごいと言ったって、所詮偽物だ。ちょっとしたところに不自然さが出るから見破るのは簡単だ。」などといわれていたのも今は昔。いまでは精度が増し、見破ることが非常に困難なディープフェイク生成が可能となり、さらには生成できる画像・映像の自由度も増しています。ディープフェイク生成、またそれを見破る技術の双方について、我々の最近の取り組みについて簡単にご紹介します。
【顔学オンラインサロン申込み】