閉じる

Cosmetic Science最新のトピック

客員教授からの
お知らせ

トピックス2024.08.12

「顔学オンラインサロン報告」

顔学トピックス 「顔学オンラインサロン報告」

 縄文顔と弥生顔〜時代が求める推しの顔とは

 

2024年8月の顔学オンラインサロン(86日)は、日本顔学会公認サークル「美人画研究会」代表の松永伸子さんを中心としたメンバーの方々に話題提供いただきました。

テーマは「縄文顔と弥生顔の比較と時代の求める『推し』の顔」。美人画研究会が20243月と7月に開催した内容をまとめたもので、新しい切り口の興味深い内容でした。

話題は6つのカテゴリーに分かれ、

  • 「能面は意外と縄文顔ーその理由に迫るー」 能面師 麻生りり子さん
  • 「姉妹は妹の顔の縄文度が高い?」 松永伸子さん
  • 「江戸初期から明治大正までの推しの顔―浮世絵美人を中心に―」浮世絵研究者 畑江麻里さん(松永伸子さん代行で説明)
  • 「昭和―それは縄文顔と弥生顔のせめぎあい」 松永伸子さん
  • 「美人の変遷ー形とイメージ」 城戸崎雅崇さん
  • 「時代が求める『推し』の顔を美人画に描く」

(作品制作(敬称略):河合直樹、東観崎繚、斎藤忍、城戸崎雅崇、井手晴海、宇田川のり子、吉村眞由美、松永伸子)

このように盛り沢山の多彩な内容でした。とくに、「推しの顔」の変遷は、「縄文顔」、「弥生顔」という切り口で考察されているのが新鮮でした。かつて、「しょうゆ顔」、「ソース顔」という呼び方があったことを思い出しました。既存調査から日本人は縄文顔3割と弥生顔7割の2パターンあるといわれているそうですが、今開催されているパリオリンピックを見ていると、日本代表選手の顔はさらに多様になっていることを実感します。日本人の顔はどう変化するのか、私も未来の顔を想像してみたいと思いました。

日本顔学会ニューズレターにも、サロンの様子が詳しく記載されていますのでご覧ください。

次回の顔学オンラインサロンは、9月1720時より、馬場伸彦先生(甲南女子大学文学部メディア表現学科教授)により、「写真の『顔』は誰の『顔』なのか」というタイトルで話題提供いただきます。次回も楽しみです。このサロンは会員でない方も無料で参加できます。(菅沼薫)

図1 サロンの風景 ZOOM画面

図2 縄文顔と弥生顔の特徴(人類学の馬場先生提供)と松永さん

 

【顔学オンラインサロン(第61回)のお知らせ】

2024年9月の顔学オンラインサロン(917日)は、甲南女子大学文学部の馬場伸彦先生(メディア文化論)に話題提供いただきます。今回は、「写真の『顔』は誰の『顔』なのか」と題し、肖像写真におけるアイデンティティの問題から生成AIによって造形される顔まで、写真論・メディア論的見地からお話いただく予定です。

顔学オンラインサロンは夕食後に気軽に、顔そして顔学について語り合う場にしたいと思っております。非会員の方の参加も歓迎します。

 

【日時など】

日時:2024917日(火)20時から(1時間半程度を予定)

会場:Zoomというオンライン会議システムを用いておこないます。(無料)

 

【話題提供】

テーマ:『写真の「顔」は誰の「顔」なのか』

話題提供:馬場伸彦(甲南女子大学文学部メディア表現学科教授)

趣旨:

写真に撮られた「顔」とは誰の顔なのか?表象された一枚の写真には、写真を撮る者の視覚によって理想化された「顔」と撮られた者の自己同一性が同居している。私たちは肖像写真を見るとき背後に隠された「見えざるものの」の意味や物語を無意識に探ろうとする。人物の外観を構築するさまざまな要素に思いを巡らし、その人物のアイデンティティを突き止めようとする。それが匿名の誰かであったとしても、読解の誘惑を禁じ得ないのが「顔」のある肖像写真なのだ。

顔は、私たちが他人とコミュニケーションをとり、関係を築く上で重要な役割を果たしている。私たちは、顔を見て相手の感情や意図を読み取ったり親近感や信頼感を感じとったりする。だが、顔の読解とは、アリストテレスの観相学的観察と同様に、匿名の見知らぬ顔に象徴的な「仮面」を与えることを意味する。

肖像写真において、自己同一性の拠り所となる本当の顔など見つからないのかもしれない。結局のところ、顔の解釈とは誰かの顔を思い起こすことと同じなのだ。そうであるなら、この誰かとは果たして何者なのか。あるいは、生成AIによって造形される顔は誰の顔なのか。

 

【顔学オンラインサロン申込み】

https://www2.jface.jp/salon/php/salon_entry/index.php