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客員教授からの
お知らせ

メディア2025.06.26

日本医療ソーシャルワーカー協会主催の全国大会にて

本年4月より、健康生命薬科学科の客員教授を拝命いたしました前山薫と申します。

これまで私は、化粧品の研究開発、特にスキンケア製品の処方開発に携わってまいりました。また、直近の20年間は、所属企業のコアコンピタンスが「真珠」であることから、真珠の研究にも注力してまいりました。

このたび、表題の機関より、三重県で全国大会を開催するにあたり、三重県が発祥の地である「真珠」についての講演をご依頼いただきました。講演をお引き受けするにあたり、まずは聴講者の皆さまのご職業について理解する必要があると感じ、医療ソーシャルワーカーの役割について教えていただきました。

私はこれまで、医療機関とは医師、看護師、理学療法士、薬剤師、事務職の方々によって構成されているものと認識しておりました。しかし、比較的大規模な医療機関には、「社会福祉士」や「精神保健福祉士」といった資格を有する方々が在籍し、患者さんやそのご家族の療養相談や退院後の生活支援に至るまで幅広くサポートされていることを知り、たいへん驚きました。

お話を伺う中で、患者さんが抱える問題は、制度の狭間にあるものや、心理的・社会的・経済的な要素が複雑に絡み合ったものであることが多く、そうした課題を適切に把握し、判断する力、さらには行政の通知や通達などを読み解く力や社会保障制度に対する深い理解が求められる職務であることを学びました。そして何より、困難を抱える人の立場に寄り添う熱意や思いやりが大切にされる、非常に尊いお仕事であると感じました。医療に関わる他の専門職と同様に、患者さんやそのご家族に寄り添う重要な役割を担っていらっしゃる皆さまが、今回の講演の聴講対象であると理解しました。

私はこれまで真珠研究を通じて、生命の起源や進化といった視点を学んでまいりました。長い年月をかけて自然界で生き続けてきた生物を、人間の都合で養殖し、それを将来にわたって持続させていくということは、自然や環境との対話を必要とする営みです。講演の中では、人との共生、自然との共生についても話題提供させていただきました。

健康生命薬科学科に在籍されている 皆さんは、卒業後は医療現場で多くの専門職の方々と連携しながら活躍されることと思います。化粧品は病気の治療を目的としたものではありませんが、より健やかに、快適に、美しく生きるために必要とされるものであり、QOL(Quality of Life)の向上に貢献するものです。医療とは少し異なる分野ではありますが、皆さんには大学生活で多くのことを学び、将来、豊かな生活文化の提供に貢献してくださることを願っております。

前山 薫(健康生命薬科学科  客員教授)