トピックス2025.09.16
初体験!驚愕!生のヒト皮膚に触れた!!SOLA & WEPREDIC社に行ってきました。
IFSCCカンヌ大会に参加する前にレンヌに立ち寄り、化粧品業界で我々の盟友である岡野由利先生が主任研究員を務めるフランス法人 SOLAが開催する“The Open Door Seminar”に参加してきました。SOLAは、フランスのWEPREDIC社と日本の研究コンサル会社での㈱CIEL、評価会社のDRC㈱の合弁会社で、3社が連携して、ヒト皮膚の調達から安全性・有効性評価まで一連の研究を一括して行えるようになっています。
今回のセミナーでは、午前にSOLAのサービスの紹介とex-vivoでの試験研究の可能性についての講演を聴き、午後からは、実際にヒト皮膚を使った実験の一端を体験しました。
まず実際に美容外科的手術によって得られた皮膚塊から実験用の皮膚にする過程を見学。その処理の手早さに驚くとともに、見た目は鶏肉とそう変わらないな~と感じました。
続いてワークショップ。最初は実際に丸く打ち抜いた皮膚片を使った、経皮水分蒸散量(TEWL)の測定。㈱CIELの正木仁先生に指導を受けて、テープストリッピングする前と後の蒸散量を測定させてもらいました。実際の皮膚片でも5回のテープストリッピングで水分の蒸散が倍以上に増えるのが観察でき、むっちゃ楽しかったです。
続いて、今回のIFSCCでも発表される新しい培養システム“ReleGO”のデモンストレーション。培地を流しながら培養できる画期的な機器で、経皮吸収の実験が楽に正しくできることに感激しました。
そのあと、フランツセルによる透過試験のデモンストレーションを見学。日本で使っているより小さ目のフランツセルの間に、少し大きめの生皮膚を挟み、温度を一定に保ち経皮吸収を観察するという流れを説明してもらいました。
微生物屋と分析化学者の我々にとって、ヒト皮膚を扱うのは初めてで、その柔らかさと弾力性に悪戦苦闘でしたが、ヒト皮膚が豚皮や鶏皮とは全く違うことを実感するとともに、ex-vivo研究による新しい事実の発見の可能性を確信しました。
日本ではヒト皮膚の調達が容易ではないため、生ヒト皮膚を使ったex-vivoの研究を行う環境が整っているとはいえないのが現状で、SOLAの取り組みは、日本の研究者の助けになると強く感じました。これからの研究の発展が楽しみです。
(南野美紀・神田不二宏)