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客員教授からの
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トピックス2025.09.22

AIの台頭で化粧品技術者は職を失うか?!

昨日IFSCC 2025カンヌ大会から帰ってきました。今回のカンヌ大会では、いろいろ感じることがありましたが、それは10月24日の無料webinarでお話するとして、今日は化粧品技術者のAIの活用についてお話しします。

 ジェミニやChatGPTなど各種AIが我々の生活に深く関わり始めた昨今、その能力と恩恵に驚愕する傍ら、自分の職がいずれAIに取って代わられてしまうのではないか?と危惧している人も多いのではないでしょうか?無限の組み合わせからなる処方の最適化の検討や、超加速試験による製剤の安定性の短期間での予測など、人間にとっては現実的ではない複雑かつ膨大な計算の繰り返しも朝飯前で全く苦にならないAIを化粧品科学の進化に活用しようとする流れは必然であるとも言えます。実際、IFSCCの学術大会でもこのようなAIの活用例に関する報告が毎年増えています。

 本年6月でイタリアのヴェローナで開催された第8回IPCEで、米国代表の教育担当IFSCC理事のPerry Romanowski氏の基調講演“Cosmetic Formulating in the 21st Century”というテーマで、化粧品科学とAIに関する話がありました。PerryAIが「化粧品科学者に全面的に取って代わることはないだろうが、AIを全く活用しない化粧品科学者がAIを積極的に活用する科学者に取って代わられるにはそれほど時間を要しないだろう」と含蓄に富む見解を述べていました。

Perryの話を聞いて、化粧品科学に求められる情緒の部分はこれまで以上に人間が磨きをかけ先導しつつ、論理的に解決できる部分はAIを適切に活用していくのが、我々人間の化粧品科学者の生き延びる道だと思いました。つまり、人間主導でどのようにAIと折り合いをつけながら発展していけば良いかを考えることが大切ではないかと思います。(神田不二宏)