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客員教授からの
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トピックス2025.11.24

生成AIの活用法

今年のIFSCC(国際化粧品技術者会連盟)のカンヌ大会が9月に終了したばかりと思ったら、来年(2026年)のパース(オーストラリア)大会での発表希望者は一息つく間もなく、1月のアブストラクト締め切り日に向けての準備を始めないとなりません。そのような忙しない状況の一助となるように最近のブログでも紹介した「国際化道場」(https://cosmetic.mukogawa-u.info/visiting_professor/post-3576/#Main)を開催し、その一回目の東京の部が先週終了しました。

我々の化粧品業界と生成AIの関わりについては最近のブログ(https://cosmetic.mukogawa-u.info/visiting_professor/post-3568/#Main)でも取り上げましたが、今回は、IFSCC大会への準備でどのように生成AIを活用すれば良いか「国際化道場」でお話した内容をご紹介します。

AI活用法の1つめは、IFSCC大会で発表する内容は、それが今までどこでも発表されたことのない新規な技術であることが求められます。自分が新規だと思っている技術が本当に新規であるかどうかの判断は結構難しいのですが、インターネット上の知見を全て把握しているとされている生成AIにその判断を委ねることにより網羅的かつ客観的なコメントを得ることができます。

 2つめは、実際のアブストラクトの作成ではまずは日本語で考えて、その上で英訳するというプロセスを通常は経ると思うのですが、和文英訳の場面でも生成AIは活躍してくれます。英語のトーン(フォーマル度、洗練度、判り易さ優先など)の調整や専門用語を多用しないようになど細かいリクエストにも対応してくれ、当然ながら日本語の質に比例してアウトプットの英語もレベルアップします。生成AIの英語そのものは基本的に文法も含め完璧ですが、その内容が自分の和文で意図した内容と合致しているかどうかの検証は飽くまでもご本人(人間)に委ねられますので、その点はご注意ください。

 3つめは、良いアブストラクトが書けたと喜んでいたら、規定字数を大分オーバーしていたという経験はよくあることだと思います。ここでも生成AIがその威力を発揮してくれます。発表のエッセンスはしっかり保持しつつ、制限字数まで圧縮することは、生成AI先生にとってはお手の物です。

 このようにIFSCCでの発表に限らずどんな学会でも、生成AIの強力なサポートは頼もしい限りですが、忘れてはいけないことは飽くまで人が主体となって生成AIをツールとして正しく活用し、検証は必ず人間が実施することが肝要です。(神田不二宏)