トピックス2021.08.10
菅沼薫のワンポイント講座 「化粧品トレンド研究の基本」 (5)化粧品開発の歴史
菅沼薫のワンポイント講座 「化粧品トレンド研究の基本」
(5)化粧品開発の歴史
5月のブログに、化粧品市場には「Functionalism(機能主義)」と「Naturalism(自然主義)」2つの機運があるといいましたが、今回は化粧品開発の変遷について考えてみたいと思います。化粧品開発にはある程度の時間がかかります。そのために、開発の方向性を早い時期から整えないといけません。例えば、1996年発売の毛穴シートパックの開発には10年の歳月がかかったと聞いています。それ までの毛穴用化粧品は、クリームを手指で広げ乾かして剥がすもので、手指が汚れ剥がしづらいものでした。毛穴シートパックは、毛穴部分に張り付け剥がすだけの手軽なうえに、角栓除去効果も高い商品として大ヒットし現在も発売されています。
その他にも1990年代は、皮膚科学の解明や製剤技術が進み、簡易な皮膚計測を行い個々の肌質に応じた化粧品が提供されました。さらにシミ対応の美白化粧品の開発も進み、化粧品開発も「Functionalism(機能主義)」的志向に合わせた技術改革の時代だったといえます。
しかしながら2000年代は、オーガニックやナチュラル、ノンケミカル、ノンシリコン、非石油系原料素材など機能よりイメージ志向が強くなり、技術より感覚の時代でした。その後2016年にシワ改善化粧品が承認され、それに合わせて新製品が多数発売され注目されました。
現在はパンデミックによって生活は一変し、ワクチンや治療薬のような確かな機能や効果が求められています。同様に、これからの化粧品開発は高い技術力をアピールする時代に移行していくでしょう。今までにない新しい切り口の化粧品を誕生させるためには、化粧品とは異なる分野の研究や技術との出会いがひらめきの起爆剤になると思います。
掲載予定テーマ
4月.トレンド研究とは
5月.化粧品トレンドの特徴
6月.肌悩み調査とトレンド
7月.不易流行
8月.化粧品開発の歴史👈今月はここ。
9月.化粧品トレンドと社会背景
10月.メイクアップの変遷
11月.スキンケア化粧品の変遷
12月.パッケージデザインの変遷
1月.化粧品トレンドの掴み方
2月.トレンド調査の注意点
3月.トレンド予測力の養い方