トピックス2021.10.12
菅沼薫のワンポイント講座 「化粧品トレンド研究の基本」
(7)メイクアップの変遷
美容行動におけるメイクアップの方法は、どんな時代にも受け入れられ万人受けするナチュラルメイク、すっぴん風メイクと言われるような「不易」なメイク方法もありますが、その時代を反映するような「流行」のメイク方法があります。そのような「流行」メイクアップは、ファッションや生活スタイル、社会の動きや経済の変化にも影響を受けて大きく変化しています。
とくに影響されるのは女性の意識の変化であり、女性の社会進出や働き方など考え方や生き方が表れるもので、自己アピールの方法でもあるメイクアップは印象を変える手段として有効に使われています。
元気で華やかで、力強くはっきりした印象にしたいときには、くっきりとした太めの眉やオレンジ系のチーク、色鮮やかな口紅、色味や線を強調したアイメイクにすればその印象が強調されます。女らしく優しくソフトでナチュラルな雰囲気を望むときには、弓型の自然な色の眉や形、ピンク系のチーク、つややかな唇を演出する口紅、グロス、淡い色合いのアイシャドーが多く用いられます。
それらは、ファッションの流行に同調しており、前者の力強くはっきりした印象のメイクアップは、直線的で肩や襟を強調した服装や原色やビタミンカラーと呼ばれる明るい色彩で、女性らしい身体の線がわかるようなデザイン、またはシンプルでトラディショナルなスポーティ時代に流行します。後者のソフトな印象のメイクアップは、フリルやギャザーなどの曲線的で柔らかく、ふんわりした素材や淡い色合いのフェミニンな印象をアピールするファッションが流行するエレガンス時代のものといえます。また、天然素材を用い、素材の色を思わせる配色で、身体の線を強調せず包み込むようなデザインのファッションが流行るときにもソフトなメイクアップが好まれます。
現在のファッションの流行は、ロングスカートに柔らかい曲線的なフォルムのエレガンスなものが好まれているので、メイクアップもそれに合わせてソフトな印象のメイクアップになっています。また、コロナ禍にあり、マスクで顔半分が隠れるために眉やアイメイクへの関心が高く、口元の化粧は控え気味です。
しかしながら、アフターコロナ時代には、目元に加えて口元のメイクアップにも注目が行くと思われます。なぜなら、人々は明るい笑顔を求めていると感じるからです。
今後の掲載予定
4月.トレンド研究とは
5月.化粧品トレンドの特徴
6月.肌悩み調査とトレンド
7月.不易流行
8月.化粧品開発の歴史
9月.化粧品トレンドと社会背景
10月.メイクアップの変遷←今月はここ。
11月.スキンケア化粧品の変遷
12月.パッケージデザインの変遷
1月.化粧品トレンドの掴み方
2月.トレンド調査の注意点
3月.トレンド予測力の養い方