トピックス2022.10.15
情報にも表情がある! 押田良機先生による「顔法への招待」
今回は3年ぶりのリアルな顔学イブニングセミナーでした。会場には20名ほどの参加者があり、アメリカにおいて最も優秀で伝統があるといわれるインディアナ大学歯学部(歯周学インプラント科)の教授で現名誉教授の押田良機先生にお話いただきました。
「顔法」とは、人の正面顔(輪郭、眉、目、鼻、口等の顔の部位)を用いた情報の表示、伝達手段の一方法で、特に有効な可視化効果にその重点があります。歴史的には1973 年に、MIT の統計数学者チェーノフが発表した論文が最初であり、多変数を同時にしかも可視化できる方法として、人の顔(顔の部位)を利用した方法です。
今回のセミナーでは、情報の性質や伝達法を概説し、それら膨大な情報学の中で「顔法」の位置づけし、続いて押田流の利用例として、一般社会生活分野、教育部門、医療部門、事故調査結果の顔化の例などが紹介されました。
お話を聞いていて、なぜ「顔」で情報が説明できるのか考えると、それは単純な図形やグラフでは説明できない様々な情報を、顔型を用いることで、多様な情報を一度に説明でき、分かりやすく伝えられるからということなのです。それは、「顔」のもつ多面性、目鼻口などのパーツの多さからくる処理能力、顔全体から見える「表情」による事の大小や強弱、重要度、感情、感覚などが表現でき、さらに読み取れるからではないかと思いました。
改めて「顔」の伝達能力の高さと共感力の強さを感じました。
次回11月は再びオンラインでサロンを開催します。またまた興味深い内容になりそうです。
【客員教授 菅沼薫】
■次回 第40回顔学オンラインサロンのご案内
日時:2022年11月1日(火)20時から(1時間半程度を予定)
会場:Zoomというオンライン会議システムを用いておこないます。
テーマ: 絵に描かれた顔に見られる暗喩
話題提供:木津 文哉(東京藝術大学)
趣旨: 絵描きである自分が学んできた、2次元で表現された顔の歴史と実例について話します。
メイン・カルチャーとカウンター・カルチャーによる描画の差異はどのようなものか?原稿料が出なかった月刊漫画誌「ガロ」に見られる自由な表現、また、1960年代の少年の憧れであった「GIジョー」(アクションフィギュア)から見える顔の変遷。そして、近年の「ホワイト化」による醜い物の無視・排斥による表現の変化などなど、を考えています。
■ 「顔学オンラインサロン」は、毎月1回火曜日の夜20時から90分、オンラインZoomで開かれています。日本顔学会の会員でなくても無料で参加できます。「顔」に関する様々な話題提供者の話を視聴したあと、参加者同士気軽に意見交換することができます。みなさまもぜひご参加ください。
【顔学オンラインサロン申込みはこちら】