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Cosmetic Science

客員教授からの
お知らせ

トピックス2024.01.21

世はイケメン文化花盛り!社会心理学からイケメンを探る

2024年は、能登半島地震で始まり大変な幕開けとなりました。被災された方々へのお見舞いと早い復興を祈念しております。

ところで、今年初回の顔学オンラインサロンは、116日に第53回目が開催されました。話題提供は、山口大学の社会心理学分野でご活躍の高橋征仁先生に、「イケメンを科学する」と題して、社会心理学的なアプローチによる研究から、「最近のイケメンの顔と家畜化症候群に何やら関係がある?!」 という問いと現象についてお話をしていただきました。なお、この研究は昨年の顔学フォーラムにおいて、「女性の配偶戦略と男性平均顔の脱男性化との関連についての検討」というタイトルで口頭発表され、原島賞を受賞されました。

講演タイトルと高橋先生

まず、研究の背景には、女性の好みが「脱男性化」へ変化しているのではないか、その理由は女性の配偶者選択に「やさしさ」を求めており、遺伝学的に人類の「自己家畜化」を加速させているではないかと思われるからというものでした。

そこで、高橋征仁先生は、平均顔アプリを用いて美男子コンテストの候補者(1988-2022)の5年毎の平均顔を作成し、男女1304名による印象評価の回答から分析を行ったそうです。その結果、各時期の美男子平均顔は、「女性的」、「ひ弱」、「新しい」、「華やか」などの印象評価が単調増加しており、脱男性化という変化が顕著に見られたということでした。また、女性にとって恋人や結婚相手としての魅力度が最も高かったのは最近の美男子平均顔で、その変化を調査に協力した男性群は予測できていなかったようだと述べられていました。

研究に用いた美男子平均顔A~D

女性にとって脱男性化の顔の好みは、人格的にも「従順性」、「優しさ」、「思いやり」、「おとなしさ」などを高く求めていることを表しており、配偶者選択に大きく影響しているのではないかというものでした。

多くの女性が仕事を持ち、社会に進出している現代では、「俺についてこい!」というタイプもいいですが、話を聴いてくれたり、サポートしてくれたり、子育ての力になってくれそうな人をパートナーにしたいという女性の思いの方が優位になっていることが、高橋先生の調査研究にも表れているのではないかと思われます。

そういえば、近頃のアニメに登場する男性たちの顔は、色白で顎がとがり、細長くすっきりした顔が多く、また、人気の若い男性タレントや俳優の顔も同様に見えます。昔のヒーローものでよく見かけた、顎が張って、目力が強く、眉がくっきり、浅黒く、男っぽい感じの顔が少なくなっているように感じます。

このように、時代や社会の変化に顔学も大いに関係していることが分かるサロンとなりました。今回も多くの参加者があり、質問や意見が飛び交い90分では収まりきらない雰囲気で、再度取り上げたいテーマということで再企画が期待されるほど盛り上がりました。

次回は213日(火)の20時より、2024年より日本顔学会新会長となられた阿部恒之先生に、「私の初心と所信」と題して、これまでのご研究、顔学会の今後の展望についてお話しいただきます。みなさまの参加をお待ちしています。

【客員教授 菅沼 薫】

 

【顔学オンラインサロン(第54回)のお知らせ】

顔学オンラインサロンは夕食後に気軽に、顔そして顔学について語り合う場です。

非会員の方の参加も歓迎しています。

 

【日時など】

日時:2024213日(火)20時から(1時間半程度を予定)

会場:Zoomというオンライン会議システムを用いておこないます。

 

【話題提供】

テーマ:私の初心と所信

話題提供:阿部 恒之(東北大学教授)先生

趣旨:20241月から日本顔学会の会長を務めることになった阿部恒之です。今回、顔学オンラインサロンの担当役員の皆様より、会長としての(所信ではなく)「初心」を語るよう拝命しました。

私がなぜ顔研究に興味を持ったかなど、私の初心を聞きたいという「需要」はないと思うのですが、あえてお引き受けしました。というのは,私の研究をご紹介することは、顔の心理学的研究を俯瞰していただくのにちょうどよいかもしれないと感じたからです。顔の心理学的研究が盛んになったのは、1970年代の英国が発端であり、そう遠い過去の話ではありません。顔の心理学の研究史と、私の顔研究の経歴は、時間的に重なっているのです。

私の顔研究は、大学の卒論、もっと正確に言うと、3年生の時のリポートから始まりました。このときの動機が、いわば初心にあたるかと思います。その後、化粧品メーカーに就職してからは、ストレス研究と同時に,化粧心理学の一環としてメーキャップを扱い、そのベースが顔の心理学でした。大学に移ってからは、感情心理学という看板を掲げていたものの、私に指導を求める学生の多くは、化粧や顔に興味を持っていました。今の私の顔学は、学生の興味に引きずられて行っているような状態です。このように、大学から今に至る、私の顔研究をダイジェストさせていただきます。また、これからの顔学会に期待することも少しだけお話させていただきます。いわば所信です。

題して、「私の顔学:初心と所信」。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【顔学オンラインサロン申込み