閉じる

Cosmetic Science

客員教授からの
お知らせ

トピックス2024.02.28

デンマークのメタルバンドAdvocacyのアルバムタイトルに込められた想い

先日アップしたAdvocacyというデンマークのメタルバンドの記事 デンマークの新鋭メタルバンドのSNSで武庫女がPRされた?!” に南野先生が早速反応して下さり、このアルバムタイトルの”The Path of Decoherence”って一体どういう意味?と聞かれました。直訳すると「デコヒーレンスの道」で、デコヒーレンス自体は物理学用語で、「量子世界で起こる状態の重ね合わせが壊れること」らしいのですが、これでは訳が分からないですよね!そこで直接バンドメンバーにメールで聞いてみることにしました。いつもメール対応を担当してくれているドラムスのアンドレアス(Andreas)君から早速返信があり、アルバムタイトルには二つの解釈があるとのことでした。

Advocacy

一つ目の解釈は、本来の物理学用語に根差している考え方だそうです。彼のメールの本文にもWARNING: nerdy explanation(警告:オタク的な説明)と書かれていましたが、量子力学におけるデコーヒーレンス”decoherence”とは「波」という無限の変幻自在な可能性を有する事象からたった一つの状態にしか集約できない「古典粒子」への変化ということであるらしく、それを無限な可能性からスタートしても結局はたった一つの現実と向き合わなければならない我々の人生になぞらえているとのことです。

二つ目の解釈は、”decoherence”は物理学用語以外にも、一般的に「一致」や「統一」を意味する”coherence”という単語の否定形として使われることもあり、他人や社会と接することにより、自らのマインドが崩壊することを表したのだそうです。恐らく世界の各地で起こっている悲しく理不尽な出来事の数々に対する憂慮を表したのだと思います。

実に含蓄のある深い意味を持つタイトルです!!アンドレアス君によるとバンドメンバーの多くは自然科学のバックグラウンドがあるらしく、このような理屈っぽいタイトルになったとのこと。理系と言えば、南野先生の大好きなあの有名なクイーン”Queen”のギタリストのブライアン・メイ”Brian May”も宇宙物理学者でしたね。理系ということで、益々彼らに対する親近感が湧いてきました。(神田不二宏)