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Cosmetic Science最新のトピック

客員教授からの
お知らせ

トピックス2024.12.18

顔学トピックス 「顔学オンラインサロン報告」

外向性が高い人は目に着目する!

顔学オンラインサロン第63回は2024123()、「観察者の性格特性と眼球運動が顔の印象推定に与える影響」と題して、徐 貺哲氏(弘前大学教育推進機構助教・日本顔学会若手交流会代表)に話題提供していただきました。

徐 貺哲(ジョ キョウテツ)先生は、認知科学や行動科学をご専門として、とくに顔の印象評定と眼球運動に注目して研究されています。顔と眼球運動に注目したきっかけは、論語の一説に「眼見為實」という言葉があり、その意味は「目で見たものこそ真実である」という視覚優位な考え方から、人の印象を決める顔の特殊性に興味を持ち、人間の認知形成に眼球運動が深くつながっていると感じたからだそうです。

本サロンでは、これまでの研究を紹介くださいました。それらには、刺激に対する印象評定の際、評定者の性格特性によって注目する顔の部位が異なること(例えば、外向性が高い人は目に着目するなど)を明らかにした研究や、視線誘導によって注視対象の印象が良くなる傾向がみられるなど、たいへん興味深い内容でした。これらの研究成果は、評定者の性格特性が眼球運動を介して他者の印象評定に影響を与えることを示しているといえます。

日本には、「目は口ほどにものをいう」、「百聞は一見に如かず」などの言い伝えがあるように、目で見ること、目を見ることを重視する傾向があるように感じます。マスクで口元が見えないより、サングラスで目元を隠された方が、相手の様子が分からず不審に感じることがあります。相手がどこを見ているか、細かい眼球の動きにも敏感に反応している様子もうかがえます。これからの眼球運動と印象推定の研究から、新しい知見が得られるのを心待ちにしたいと思います。

今回も参加者との質疑応答もにぎやかに行われ、オンラインサロンがますます充実していると感じました。次回のオンラインサロンは、2025121日(火)20時から、五十嵐崇訓さん (花王株式会社)に「感じているけどうまく説明できない!~顔と肌の色彩・質感の面白さ」というタイトルで話題提供いただきます。2025年も楽しみです。みなさま、良い年をお迎えください。(菅沼薫)

図1 徐 貺哲(ジョ キョウテツ)先生の自己紹介

 

図2 本日のまとめ

 

【顔学オンラインサロン(第64回)のお知らせ】

2025年1月の顔学オンラインサロン(121日)は、花王株式会社 スキンケア研究所の五十嵐 崇訓さんに話題提供いただきます。五十嵐さんは、主に光学・画像技術を用いた肌のアピアランスの計測・解析や、肌の触感評価に関する基礎・応用研究に従事されています。今回は、顔と肌の色彩・質感関する題材を中心にご紹介いただきます。科学的な視点からの興味深い研究のお話が伺えると思いますので、是非、ご参集ください。

【日時など】

日時:2025121日(火)20時から(1時間半程度を予定)

会場:Zoomというオンライン会議システムを用いておこないます。(無料)

 【話題提供】

テーマ:「感じているけどうまく説明できない!~顔と肌の色彩・質感の面白さ」

話題提供:五十嵐崇訓さん(花王株式会社)

趣旨:

私たちは容易に自身や他者の顔や肌に対して色・質感を感じ取ることができます。

もちろん外観に限らず、他にも,例えば顔を触れば触感を感じ取れます。これらを感じ取ることで、私たちは、自身・他者の状態推定に必要な手がかりなど生活するうえで重要な情報を得ています。この「感じ取れていること」を客観的に捉え説明できるようにしたいわけですが・・・感じられるからといって簡単に説明できるわけではありません。

このお話では、顔と肌の色彩・質感を客観的に扱う上で有効な基礎知見と、主に光学・画像の手法を通した色彩・質感評価の事例を紹介します。ぜひ皆さんと「感じているのに説明しづらい」ことを科学する魅力を分かちあえればと思います。

 

【顔学オンラインサロン申込み】

https://www2.jface.jp/salon/php/salon_entry/index.php