トピックス2025.02.13
顔学トピックス 「顔学オンラインサロン報告」
「試験管の中で人間の顔が創れる!? ~人工全顔皮膚モデルの開発と応用性について~」
第65回の顔学オンラインサロン(2月4日)は、メナード化粧品総合研究所の宮地克真さんに話題提供いただきました。宮地さんは、幹細胞を用いて顔の形状を持った人工皮膚の開発に取り組まれています。昨年のフォーラムにおいても、研究発表と実際に顔型人工皮膚を展示してくださっていました。今回のサロンでは、最新の研究の成果や顔の皮膚の質的個性がどのように化粧品に活かされるのか、再生医療の未来についてもお話を伺うことが出来ました。
まず、幹細胞や皮膚の構造などについて基本的なお話から始めていただきました。幹細胞は皮膚の再生を担う重要な細胞です。この幹細胞を体外で培養し、生体の皮膚組織を模倣した人工皮膚として、これまでは平坦なシート状のものが開発されています。
宮地さんたちの研究では、顔型の培養足場を作製して、顔の凹凸に沿った顔形状を精密に反映した人工皮膚モデルを完成することが出来たそうです。昨年のフォーラムの際には人工全顔皮膚モデルを実際に見せていただきましたが、顔形状に合った半透明の滑らかな表面で、生きた皮膚のようにみずみずしく感じられました。なぜ顔型の人工皮膚モデルにこだわったのかは、発表にもあった紫外線照射による皮膚の損傷研究結果からも分かりました。太陽紫外線は、顔の凹凸によって強く当たる部位が異なります。その影響は顔面皮膚の加齢変化などの研究にも応用できるものです。
今後の研究として、人それぞれ本人の細胞を用い、その人の皮膚性質の再現することで、個人の顔の老化メカニズムを解析したり、パーソナライズな化粧品の開発を進めたりすることも可能になるかもしれないと語っていらっしゃいました。さらに、この人工全顔皮膚モデルの顔学研究や化粧品開発、再生医療、より人間味のあるヒューマノイドロボットの被覆素材など、多様な分野への応用も期待できるのではないかということでした。
今回のサロンも、人工皮膚という先端研究として興味深いお話しを聴くことが出来ました。
次回の顔学オンラインサロンは、3月4日(火曜)の20時から、顔学会30周年記念シンポジウム「顔の未来デザイン」–顔って?誰の?どこへ?– についての事前告知となります。シンポジウムの見どころ、聞きどころ、楽しみどころをお伝えします。前会長で30周年シンポジウムの実行委員長の私(菅沼薫)が話題提供します。ぜひサロンにお集まりください。(菅沼薫)
画像1 話題提供者の宮地克真さん
画像2 人工全顔皮膚モデル
【顔学オンラインサロン(第66回)のお知らせ】
デザイン」–顔って?誰の?どこへ?– が開催されます。それに先立つサロン(3月4日)では、このイベントについて、前会長で30周年シンポジウムの実行委員長菅沼薫先生に話題提供いただきます。
【日時など】
日時:2025年3月4日(火)20時から(1時間半程度を予定)
会場:Zoomというオンライン会議システムを用いておこないます。(無料)
【話題提供】
テーマ:「日本顔学会30周年記念シンポジウムのご案内」
話題提供:菅沼 薫(実行委員会委員長)+斎藤 忍(実行委員)
趣旨:
2025年3月、日本顔学会は30周年を迎えます。そこで、30周年記念シンポジウム「顔の未来デザイン」–顔って?誰の?どこへ?–を開催します。サロンでは、見どころ、聞きどころ、楽しみどころをお伝えします。特別講演の演者インタビュー動画も披露します。また、コンペティション「未来の顔」は、会員イラストレーターによる選考、制作段階に入っています。その様子もお伝えできると思います
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日本顔学会30周年記念シンポジウム
▼日時:2025年3月29日(土)午後1時~午後6時(12時30分開場)
▼会場:早稲田大学・国際会議場 井深大記念ホール(東京都新宿区西早稲田1-20-14)
▼参加費:¥4,000(会員・一般)¥2,000(学生)*
▼事前申込みは不要(当日現場受付のみ)
▼「日本顔学会30年の歩みとこれから」 阿部恒之日本顔学会会長
▼特別講演
▽森島 繁生先生 早稲田大学先進理工学部教授「これからの顔×AIサービスの展望(仮)」
▽米澤 泉先生 甲南女子大学人間科学部教授「わたしの「顔」を生きる(仮)」
▼「未来の顔」
顔学会公認サークル、関連団体:
若手交流会、美人画研究会、化粧文化研究者ネットワークより
▼コンペティション「未来の顔」
各優秀作品プレゼンテーション
▼交流会
【顔学オンラインサロン申込み】