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トピックス2025.04.30

【IFSCC 2025】「なぜ日本の口頭発表採択が少ないのか?」についての一考察

IFSCC 2025 カンヌ大会情報の第5弾。「IFSCC2025カンヌ大会のぶったまげ情報!」で、「どうやら日本人の口頭発表採択が極度に少ないようだ」とお知らせし、その理由を考察したいと思い、前回のブログ「フランスは本気で‘Future is Science’を考えている!!!」で、現時点で公表されている情報をもとに「カンヌ大会が目指すCongress」を紐解きました。そこで今回は、いよいよ「なぜ日本の口頭発表採択は少ないのか?」について考察したいと思います。

前回のブログを読んでいただくと容易に想像できることですが、フランス協会は、「未来の創造」つまり、化粧品のイノベーションをいかにして起こすかを真剣に考えています。今年日本の口頭発表が少ない根本的な理由として考えられるのは、「日本の研究からは未来が見えなかった」ということだと思います。

これはアブストラクト提出時に必要と示された、「Topic Selection」と「Keywords」の単語たちからも読み取れます。たとえば、上位概念の「Topic Selection」では、「ヒトが生涯にわたって環境から受けるあらゆる物質や要因の複合的な曝露の総体」を意味する“exposome”や、「全ての人が美しさを享受できるInclusivity Beauty」という考え方も包含している、「一人ひとりに向けて最適化する“personalization”」、さらに “well-being(個人や社会のよりよい状態)”や“longevity(長寿)”などの、新しい分野を示す単語が設定されています。もともと日本が得意な美白に関しては、“melanogenesis/pigmentation”という言葉が設定されており、より皮膚科学的な研究を求められているようです。惜しくも口頭発表に選ばれなかった方の中には、アブスト提出時にTopic Keywordsが選びにくかった方も多かったのではないでしょうか?

 
コロナ禍、トランプショック、気候変動など世界的な混乱の中、世界の化粧品市場の動きは早く、日本の化粧品業界はいよいよ本気の変革が求められています。カンヌ大会の内容から発信されるさまざまなプログラムをみていると、世界の化粧品業界も大きな転換期に来ているのではないかと思わされます。カンヌ大会に参加される方は、是非とも、多くの発表を聴き、この転換期を肌で感じて、日本の化粧品の未来をどうするべきか考えてもらいたいです。

今回は「なぜカンヌ大会で日本の口頭発表採択が少ないのか?」について我々の私見を述べてきましたが、この考察が的を射ているかどうかがわかるのは、カンヌ大会が終わってから!ということで・・・今年も「IFSCCカンヌ大会から見えた化粧品の未来」と題した無料webinarを10月24日(金)の午後から開催しますので、そこで更なる解析を加えて真相に言及します。また案内をアップしますので、こちらもお楽しみに!(IFSCCフェロー 南野美紀・神田不二宏)

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