トピックス2026.05.04
海外のトイレ事情から見える「グローバル感覚」!!
「これからの社会ではグローバル感覚が重要だ」と聞いても、どこか抽象的で実感が湧かない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、誰にとっても身近な「トイレ」を切り口に、日本と海外の違いを紹介し、世界に興味を持つきっかけにしてみたいと思います。
日本のトイレは、世界的に見ても突出して高機能です。温水洗浄便座、暖房便座、自動洗浄などが当たり前のように整っています。しかし海外に出ると、その「当たり前」が通用しないことに気付かされます。
今年3月、私はインドネシアのスラバヤを訪れました。今回はセミナー会場としてホテルを使用する関係で、一般的なビジネスホテルよりも少しグレードの高いホテルに宿泊しました。ただ、これまでIFSCC(国際化粧品技術者会連盟)の大会などで、開催国のそれなりに高級なホテルに何度も宿泊してきましたが、ウオシュレットに遭遇した記憶が一度もありません。その経験から、「このホテルもきっと同じだろう」と、特に期待もせずトイレに入りました。
案の定、トイレルームを見回してもコンセントも電源コードも見当たりません。ところが、便器の横にレバーのようなものが付いているのです。何のレバーか分からず、便器の中を覗き込みながら恐る恐る触ってみると、突然ノズルが出てきました。
「なぜ?」と思った瞬間、ノズルからシャワーが勢いよく噴射。「やばい!!」と焦り、顔面に浴びる直前でかろうじて手で防ぎましたが、水の止め方が分かりません。慌ててレバーを動かしていると、ようやくシャワーは止まり、ノズルは元に収納されました。
改めて不思議に思いました。電源もコードも無いのに、なぜノズルが動くのか。答えは、水圧だけで作動する仕組みだったのです。つまり、電気を一切使わない「ウオシュレット」でした。
ここで重要なのが、インドネシアという環境です。熱帯地方のため、年間を通じて水温が高く、水を加温する必要がありません。一方、日本の冬に同じ仕様を導入したらどうでしょう。冷水では、針で突き刺されるような感覚になるかもしれません。四季があり冬の寒さが厳しい日本では、成り立たない仕様です。
この体験を通じて感じたのは、「良い商品」や「便利さ」は世界共通ではないということです。気候や生活環境が違えば、最適解も変わります。現地の条件を前提に作られたあのトイレは、まさに現場主義の商品開発のお手本だと感じました。
グローバル感覚とは、語学力だけではありません。自分の常識を疑い、他国の背景や合理性に目を向ける姿勢です。トイレ一つでも、世界には多くの学びがあります。そんな視点を持つことが、これからの社会で大きな力になるのではないでしょうか。 (前山 薫)
