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Cosmetic Science

客員教授からの
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トピックス2020.05.09

コロナ対策 ハンドジェル物語(2)エタノールの効果

手指の消毒、洗浄を目的として市販されている製剤には、医薬品、指定医薬部外品、医薬部外品、化粧品があり、どれを選ぶのが良いの?と迷っている方も多いのでは?今日はその疑問をエタノール濃度の観点から解説したいと思います。手指消毒用に有効な化合物には、塩化ベンザルコニウムやクロルヘキシジングルコン酸塩などの殺菌剤もあり、医薬品などにはこのような殺菌剤が配合されているものもあります。ただ現時点でコロナウイルスに対する有効性が確認されているのがエタノールで、現在販売されている手指消毒用の製剤に最も多く使用されています。コロナウイルスや細菌に効果があるのは、消毒用エタノールと呼ばれるエタノール濃度76.981.4v/v%(約80v/v%)のもので、100%エタノール(無水エタノール)では効果を発揮しません。また濃度が50v/v%以下でも効果はありません。

では実際に消毒に有効なエタノールは、どういう商品に配合されているのでしょうか?実は、医薬品や医薬部外品だけでなく化粧品でも80v/v%のエタノールを配合して販売することができます。また4月中旬には厚生労働省医政局経済課等から以下の内容の事務連絡が発令されました。「新型コロナウイルスに対し、60vol%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられるとの報告等があることを踏まえ、高濃度エタノール製品(60vol%以上)を販売する事業者は、『本製品は医薬品や医薬部外品ではありませんが、消毒用エタノールの代替品として、手指消毒に使用することが可能です。』という内容を製品の表示や広告等に記載して差し支え無い」

厚労省からの事務連絡 令和2年4月22日付 

コロナウイルスやインフルエンザウイルスには6080v/v%のエタノールが効果的であることに変わりなく、手指の消毒・洗浄用に使うのであれば化粧品でも十分有効ということになります。ただしノロウイルスにはエタノールは効果が弱いので、エタノール以外の殺菌剤が配合されていない場合、医薬品であっても有効でないので気をつけてください。どんなウイルスも、石鹸を使った手洗いが基本です!とにかく感染しないよう気をつけましょう。(南野美紀)

バックナンバー:コロナ対策 ハンドジェル物語(1)ハンドジェルの開発