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Cosmetic Science

客員教授からの
お知らせ

トピックス2020.09.03

新型コロナウイルスが化粧品業界に与えるインパクト

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猛暑はようやく一段落しそうですが、新型コロナウィルスは私の意識の中ですっかり定着してしまい、ニュースで毎日夕方に報じられる本日の感染者数に一喜一憂することも心持ち少なくなって来たように感じます。この麻痺してきた感覚にこそ一番気をつけなければなりませんね。さて、その新型コロナウィルスの影響で、化粧品業界にも変化が起こっています。日本では、ハンドジェルやハンドソープの売り上げが増えているのに対し、口紅やファンデーションの売り上げが低下していますが、海外でも同じなのでしょうか?アメリカのコンサルティング会社であるKline社の調査によるとCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)の蔓延は、四つの化粧品カテゴリーに多大な影響を与えているようです。
1. パーソナル洗浄品(手指消毒剤と液体石鹸)
これらは救助カテゴリー(Rescue Category)という新しい名前がつけられています。COVID-19の勃発とともに、日本と同様、手指消毒剤の売上は急騰し、液体石鹸もペースでは劣るものの、急増しています。
2. シャンプーとリンス
美容院マーケットが縮小しているのに反し、Stay Homeでシャンプー・リンスする人が増えの使用頻度高まっています。今後、高価格のプレステージやプロフェッショナルブランドからより安価なマス商品へ購買がシフトすると予想しています。
3. マニキュア
この事態でマニキュアなんて必要ないと考える人が多くなった一方で、ネイルサロンが閉鎖されているので、ネイルの手入れは自分でしなくてはと考える人も少なくないようで、マニキュア類は大きく売上を伸ばしているそうです。
4. メンズスキンケア
メンズスキンケアは、「今でなくても」(Can Wait Category)に位置づけられています。かつては「伸びしろ」が大きいことから早期の伸びが期待されていたのですが、コロナ渦で「今でなくては」の緊急性に欠け、その将来性はやや悲観視されています。

米国のこの傾向について、皆様はどう思われますか?日本では、もともと家庭内での洗髪頻度は高いと言われているのと、マニキュア市場が米国ほど大きくないこともあり、なんだかピンとこない感じではないでしょうか?男性スキンケア市場についても、現在日本では30歳以下の若年層が市場を生み出していることもあり、彼らにとっては「今でなくても」市場ではないような気がします。コロナ禍で影響を受ける市場も、お国柄が出るような報告でとても興味深いです。