閉じる

Cosmetic Science最新のトピック

客員教授からの
お知らせ

トピックス2023.06.20

6th IPCE Conferenceから無事帰国しました!!

出発前にご案内した 6th IPCE Conference から610日に無事帰国しました。 往きは羽田からフランクフルト、ミュンヘンと2度飛行機を乗り継ぎ、サルディーニャ島のカリアリ空港からさらにタクシーで一時間ほど揺られ、ようやく最終目的地のVOI Tanka Villageに到着しました。ヨーロッパへの飛行航路に制限ができたため、以前より2時間以上時間がかかった上に、途中フランクフルトでの6時間待ちのトランジットもあり、出発地の羽田から丸一日以上かかった長旅でしたが、地中海に面したそのリゾート地の夕暮れの絶景の美しさに長旅の疲れも吹き飛びました。

世界中から集まった友人たち

 IPCEが開催されたVOI Tanka Villageは敷地内にゴルフ場、ビーチ、プール、スパ、バイキング形式のレストラン各種、ドラッグストア、お土産屋など全てが揃っており、とこでも敷地内のプリペードカードが使えるので財布やパスポートも持ち歩かなくて済み、大変便利でした。その中心にある学会会場には大小の二つのホールがあるのですが、我々は総勢70名未満でしたので、小ホールにちょうど良い具合に納まりました。初日の開始直前、続々登場する何年かぶりに会う世界中の友人たちと感動的な再会で盛り上がり、このままずっと談笑を続けたいと思っている間に初日の午前のセッションの開始です。

座長を務める南野先生

 二日間で合計29演題(そのうち4つは基調講演)が発表され、日本人による発表は計8演題(1つは東京理科大学客員教授の坂本先生による基調講演)でした。改めて視聴して感じたのは研究テーマの多様性ですが、特に海外の研究は実績尊重かつ完成度の高い日本の研究とは一線を画し、まだ結果が不十分でも新しいことに果敢にチャレンジすることに価値を見い出しているようでした。その中で、コンピューターによるシミュレーションで人間のフォーミュレーターに勝てるクレンジングが作れるか?という挑戦状を披露してくれた日本の大学や、製造工程での乳化と分離をコントロールし、廃棄のコストを抑えるSDGsの技術を提唱してくれた日本の大手化粧品メーカーなど、未来志向の片鱗を見ることもでき、心強く感じました。
私の中での一押しは米国のベンチャーの研究で、従来の外からの薬剤を使ったスキンケアではなく、ノンコーディングRNAを使った細胞レベルでのスキン修復の提唱で、このまま順調に開発が進めば、とてつもないスキンケアのゲームチェンジャーになる可能性を秘めていると考えています。

終わってみれば、スキンケア、メーク、ヘアケア、パッケージング、素材開発などテーマ数のバランスも良く、将来が楽しみな研究に数多く触れることができ、自分のセッションの座長もとてもエンジョイしました。南野先生もご自身のセッションの座長を楽しまれていたようです。やはりこの適度な大きさのホールとその中の少人数の環境は、議論がし易く、IFSCCなどの大きな大会ではなかなか発言しない日本人も積極的にディスカッションに加わってもらうことができ、これからの若手には大変有意義な経験になったことと思います。

先端のコスメティックサイエンスの共有が最も重要だったことは言うまでもありませんが、二日目の閉会後のガラパーティーでの参加者たちとの交流、暇な時間を見つけて日焼けに注意しながら寝そべっていた炎天下のビーチなど、短い期間でしたが、良い想い出作りもでき、今から来年のIPCEを待ち遠しく思う今日このごろです。(神田不二宏)