トピックス2023.10.19
【報告】日本顔学会 関⻄支部 第4回研究会 人を見た目で判断すること:我々は 『ルッキズム』 をどのように捉えるべきか?
めっきり涼しくなってきて、今頃???という話になりますが、今回は2023年8月5日(土)に開催された日本顔学会 関西支部の第4回研究会の報告です!
1995年3月に発足した日本顔学会は、顔の研究者,顔の研究に興味がある人ならだれでも会員になれる学会で、工学系、歯学系、心理学系、美容系など多く会員で成り立っています。関西支部は2016年に発足し、さまざまな顔にまつわるテーマを取り上げ研究会を実施してきました。
2019年7月には、武庫川学院創立80周年記念事業として武庫女の甲子園会館で第3回研究会「顔学の新たな可能性を探る」を開催しました(J-FACE NEWS LETTER Vol.70 )。その後、コロナ禍で中断してしまい今年は4年ぶりの開催になりました。今回は「人を見た目で判断すること:我々は 『ルッキズム』 をどのように捉えるべきか?」をテーマに取り上げ、60名を超える方々にご来場いただきました。
外見によって人々を判断したり、差別したりするルッキズム(Lookism)という概念は、「外見重視主義」、「外見至上主義」等と訳され近年、日本でも注目され始めています。今回の関西支部の研究会のテーマにルッキズムを選んだ理由は、昨年のフォーラム顔学の前夜祭で、東北大学の阿部恒之先生から「ルッキズムの是非」のような話がでたのが発端でした。長年化粧品業界にいる私としては、「見た目を綺麗に魅せるための化粧品も悪なのか?」「化粧品は見た目で差別することを助長させているのではないか?」という不安がどんよりと頭の片隅に張り付いていたこともあり、ルッキズムを様々な角度から紐解き、我々はルッキズムをどう捉えるべきかについて、一度皆様と考えてみたいと思い開催に至りました。
そこで今回の研究会では、日本顔学会の会長で武庫川女子大学薬学部の客員教授である菅沼薫先生、甲南女子大学の米澤泉先生、東北大学の阿部恒之先生にお話いただき、その後、パネルディスカッションを行い活発な議論が繰り広げられました。研究会の詳細は日本顔学会のニュースレターに報告していますのでそちらをご覧ください。J-FACE NEWS LETTER Vol.82 (jface.jp)
今回の研究会は「ルッキズム」という容易ではないテーマに対して、違う分野の先生が、それぞれの方向からお話しいただき、より深くルッキズムを考えるきっかけになりました。懇親会でも、多くの参加者から、「難しかったけど楽しかった」というお声を多くいただきました。私が尊敬する関西学院大学の長田典子先生からは「よかったわー!しやけど、よーあんな難しいテーマ、取り上げたねー」と言っていただき、とても嬉しかったです。ご講演いただいた東北大学の阿部先生からも、「ルッキズムは顔学会で議論すべきことだと思うので、今回の研究会をきっかけに、いろいろ議論していきましょう」と言っていただきました。「ルッキズム」についての議論は、始まったばかりですので、これからも皆様といろいろ考えていきたいと思います。(日本顔学会 関西支部 事務局長 南野美紀)