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Cosmetic Science

客員教授からの
お知らせ

トピックス2021.12.13

菅沼薫のワンポイント講座 「化粧品トレンド研究の基本」(9)パッケージデザインの変遷

(9)パッケージデザインの変遷 

 

今月は化粧品容器パッケージデザインとトレンドについて、考えてみたいと思います。

 

化粧品容器については、先日お目にかかった化粧品業界で長年研究開発や企画をされ、女性誌のベストコスメ選考者としても有名なビューティサイエンティストの岡部美代治さんは、「容器がなければ化粧品にならない」と言っています。

その言葉の通りで、化粧品容器は化粧品の中身を守り、使いやすくするために無くてはならない存在で、化粧品と容器は一心同体といえます。また、化粧品ブランドの世界観を表現する上では、化粧品容器のパッケージデザインが決め手となっています。

 

まず、化粧品容器は化粧品としての基本品質を守れるものでなくてはなりません。安全に正しく使えること、中身の効果や機能を表し、他のものと区別できること、使いやすく、置く場所や環境の変化にも対応できること、開封しなければ3年間品質が変わらないことなどです。そのため、トイレタリー商品やスキンケア化粧品の容器デザインは、基本的にシンプルなスタイルが好まれる傾向があります。

 

しかしながら、化粧品は流行や時代の変化に合わせて気分を盛り上げ、満足感や幸福感などの高揚感を与えるものとしての感性品質も求められます。そのため、化粧品容器のパッケージデザインにもトレンドがあります。

デザインのスタイルには大きく分けて2パターンあって、装飾的なデコラティブなものと直線的なシンプルなものになります。どちらの傾向が強いかは、メイクアップ化粧品のトレンドで掲載したように、その時代のファッションや生活スタイルの変化が大きく影響します。また、新規成分による美白や抗シワ、抗老化など特別な目的や効果を強調するように、パッケージデザインにも洗練されたデザイン性を持たせることがあります。

 

今日のようにSDGs志向が広まっている時代には、3Rである Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の意識が高く、再生可能な素材だけでなくパッケージデザインにも影響を及ぼします。したがって化粧品パッケージデザインは、再利用しやすいシンプルなものになり、その傾向はしばらく継続すると考えられます。

 

化粧品の容器

パッケージデザインにも変遷があります(画像はガウスぼかしによるイメージです)。

 

◇参考;3R推進協議会HPより https://www.3r-suishinkyogikai.jp/intro/3rs/

Reduce(リデュース)は、製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすること。耐久性の高い製品の提供や製品寿命延長のためのメンテナンス体制の工夫なども取組のひとつです。

Reuse(リユース)は、使用済製品やその部品等を繰り返し使用すること。その実現を可能とする製品の提供、修理・診断技術の開発、リマニュファクチャリングなども取組のひとつです。

Recycle(リサイクル)は、廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること。その実現を可能とする製品設計、使用済製品の回収、リサイクル技術・装置の開発なども取組のひとつです。

 

今後の掲載予定

4月.トレンド研究とは

5月.化粧品トレンドの特徴

6月.肌悩み調査とトレンド

7月.不易流行

8月.化粧品開発の歴史

9月.化粧品トレンドと社会背景

10月.メイクアップの変遷

11月.スキンケア化粧品の変遷

12月.パッケージデザインの変遷  

1月.化粧品トレンドの掴み方←来月はこちら!

2月.トレンド調査の注意点

3月.トレンド予測力の養い方

 

【客員教授 菅沼 薫】