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Cosmetic Science

客員教授からの
お知らせ

トピックス2022.06.24

2022菅沼薫のワンポイント講座 化粧品の使用感評価法あれこれ

(3)ベースメイク化粧品 化粧下地とシミ・クマ消し(コンシ―ラー)

今回はくすんだ肌の色を明るく見せたり、赤みを消したりするのに広めに塗布する化粧下地と、コンシーラー※といわれるシミやクマを目立たなくするポイント使用のベースメイク化粧品について考えたいと思います。

これらは、肌色のトラブルを軽減し、見た目に健康で美しい肌を作り上げるものですから、ファンデーションと同様な自然な仕上がりが求められます。

ベースメイク化粧品を評価するうえで大事なのは、なぜ顔面の皮膚色は一律ではないのか、シミやクマはなぜできるのか、その原因と色の違いを知ることから始めることです。

肌の色は皮膚の色であり、角層や表皮、真皮の状態が反映されます。人種による肌色の違いは、黒色のメラニン色素の量や分布が影響します。また、血行など毛細血管の色も影響し、循環、代謝が活発な皮膚や炎症を起こしている部位などでは赤みがちになります。さらに、皮膚はたんぱく質でできており、皮膚がみずみずしく水分量が多ければ明るく透明感があり、乾燥するとくすんだ黄色(オークル系)味がかった色になります。つまり、黒、赤、黄色が重なり合って肌の色や部分的な色の変化を生んでいます。加齢とともに顔面の肌の色の均一性は下がりますから、肌の色をコントロールすることが土台を整えることになりますから、化粧下地やコンシーラーが活躍します。

 

それらの化粧品の使用感・機能・効果を調べるのに欠かせないのは、官能評価★です。様々な肌色トラブルに悩むモニターを募集し、実際の肌色のくすみや赤み、シミ、クマの程度を観察、色差計等で確認したうえで、テスト化粧品を使用します。しかしながら、何度も使用テストすることは人の皮膚上では難しいこともあるため、疑似モデルとしてシリコン製の肌色ラバーや肌色トラブルラバー、マネキン等を用いることも有効です。

最も重要視されることは、肌色トラブル部位のカバー力です。化粧下地は顔面の広い部位の肌色をカバーするものなのでファンデーションと同様の評価項目で試験しますが、コンシーラーでは限られた色の変化部位に長く留まっていることが大切なので、ファンデーションとは異なり滑りのよさではなく、落ち着きのよさが必要です。なお、コンシーラーの色選びは、肌の三原色と色トラブル図を参考にしてください(図:菅沼薫作)。また、WEB美容講座★も参考にしてみてください。

 

 

肌の三原色

 

 

 

 

 

 

 

化粧下地、コンシーラーに求められる機能と感触 

 【評価法の例】

 肌色トラブルのカバー力 → シミ、くすみ、クマ、赤みモデルを用いてカバー力を検証

 落ち着きのよさ → 黒または暗色の人工皮革、紙等の上を滑らしながら塗布し画像化

 適度な広げやすさ → 表面摩擦測定(KES-SE等を用い動摩擦係数を数値化)

 崩れにくさ → 加温や微細な水油を噴霧するなどして経時変化の画像化

 耐汗、耐皮脂 → 皮脂、汗モデルによる耐油性、耐水性の確認と画像化

 

2022年度ワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」掲載予定

4月 はじめに 化粧品の使用感評価の考え方

5月 ファンデーション

6月 ベースメイク シミ・クマ消しコンシーラー←今月はここ。

7月 マスカラ

8月 口紅

9月 洗顔料

10月 クレンジング剤

11月 化粧水・美容液

12月 クリーム

1月 UV防御化粧品

2月 ヘアケア化粧品

3月 化粧品の使用感評価のまとめ

 

※日本化粧品技術者会SCCJ化粧品用語集「コンシーラー(concealer

★官能評価法については、ワンポイント講座「化粧品の官能評価」を参照ください。

★ハルメクWEB菅沼薫さんに聞く コンシーラーの使い方~青クマ・赤み解決編~