トピックス2022.11.28
2022菅沼薫のワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」
(8)化粧水・美容液
今回は、スキンケア化粧品では欠かせない化粧水と保湿タイプの美容液の使用感評価について考えてみたいと思います。
保湿、整肌を目的とする化粧水は、洗顔タオルドライ後の水分を拭き取って、湿っているが濡れている状態ではない皮膚表面に初めて塗布するのが一般的です。そのため、皮膚に浸透する過程や保湿感が付与されたような感触が化粧水の使用感のカギとなります。さらに、保湿感が保持されていることも感触として感じるものでなければなりません。そこで、時間的に変化する触感をきちんと評価できるのは官能評価しかありません。
美容液は、用途によってさまざまな形状がありますが、保湿タイプ(うるおいケア)で全顔に使用するものは化粧水と同様に考えて良いでしょう。しかしながら、シワ改善(リンクルケア)、美白(ホワイトニング)、ニキビ用など部分的にケアする美容液では、トラブルの部位に留まるような使用感や塗布感が求められますので、評価項目を検討する際はそれぞれの使用目的に合わせて検討してください。
化粧水や保湿タイプ美容液の使用感を官能評価するときに注意することは、塗布時の触圧と速度です。早くソフトに触れるのか、ゆっくりしっかり触れながら塗布するのかでは触感認識や程度量が異なるといわれています。これまで、様々な動作中の触圧[押し力(gf)]を調べましたので図1に示します。化粧品の専門パネルの押し力は、一般の人より大きく、平均すると約100gf前後になります。これを参考に自分が化粧品を塗布する際にどの程度の力をかけているのか、上皿天秤や触圧計などを用いて動作中の触圧(押し力)を調べ、専門パネルと同じ押し力を体現すると良い訓練になります。
次回、来月は「クリーム」の評価について、説明します。
【客員教授 菅沼 薫】
■化粧水・保湿タイプ美容液の評価項目
手に取りやすさ・顔面に広げやすさ
塗布時ののびのよさ・なめらかさ
塗布時のしっとり感
塗布時の浸透感
掌の吸い付きの良さ
べたつきのなさ
被膜感のなさ
肌のうるおい感
肌のふっくら感
保湿の持続感
参考1)日本化粧品技術者会SCCJ化粧品用語集
参考2)ハルメクWEB
菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法「化粧水とクリームから見直す、年齢肌の乾燥対策ケア」
★官能評価法は、客員教授ブログワンポイント講座「化粧品の官能評価」を参照ください。
■2022年度ワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」掲載予定
4月 はじめに 化粧品の使用感評価の考え方
5月 ファンデーション
6月 ベースメイク シミ・クマ消しコンシーラー
7月 マスカラ
8月 口紅
9月 洗顔料
10月 クレンジング剤
11月 化粧水・美容液
12月 クリーム ←次回
1月 UV防御化粧品
2月 ヘアケア化粧品
3月 化粧品の使用感評価のまとめ