トピックス2022.12.23
2022菅沼薫のワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」
(9)クリーム
今回は、クリームの使用感評価について考えてみましょう。
クリームには、10~50%の油分と主に水溶性である保湿剤が5~30%配合されており、本来混ざり合わないそれぞれが界面活性剤等によって乳化物となっています。
そのため、クリームは安定した均一性が求められます。クリームの用途は、保湿・整肌に留まらず、美白やシワケア、たるみ予防などの抗老化も含む多種にわたり、広く顔面全体に使うものから、目元やシミの部分のみに使用するものなど、使い方や使用量も異なります。そのため、目的に合わせたクリームの使い心地評価があります。
とくに、シワ改善(リンクルケア)、美白(ホワイトニング)など部分的にケアを目的にするクリームでは、トラブルの部位に留まるような使用感や塗布感が求められますので、評価項目を検討する際はそれぞれの使用目的に合わせて検討してください。
保湿、整肌を目的とするクリームは、化粧水や保湿系美容液と同様に考えて良いでしょう。
クリームの硬さや伸び、広がり、塗布感は視覚的にも比較することが出来ます。ただし、保湿感や時間的に変化する触感は官能評価が相応しいといえます。
塗布時の触圧は、化粧水や美容液同様の約100gf前後(化粧品専門パネルの平均)とします。ただし、マッサージクリームの場合は、30~50gfとやや軽い力で滑らせて評価します。
また、クリームの硬さは、布の風合物性計測機を応用したKES-G5を用いて計測することが可能です。なめらかさや滑りの良さである表面摩擦計測には、KES-SEが良く用いられています。
参考図として、化粧行動や時間で異なる触感、KES-G5クリーム計測例を示します。
次回、来月は「UV防御化粧品」の評価について、説明します。
■クリームの評価項目
(基本的には化粧水や美容液と同じですが、求められる程度量はクリームの目的によって異なる)
クリームの硬さ・手に取りやすさ
顔面に広げやすさ
塗布時ののびのよさ
なめらかさ・均一性
塗布時のしっとり感
塗布時の浸透感
掌の吸い付きの良さ
べたつきのなさ
肌のうるおい感
肌のふっくら感
保湿の持続感
参考1)日本化粧品技術者会SCCJ化粧品用語集
参考2)ハルメクWEB 菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法
★官能評価法は、客員教授ブログワンポイント講座「化粧品の官能評価」を参照ください。
■2022年度ワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」掲載予定
4月 はじめに 化粧品の使用感評価の考え方
5月 ファンデーション
6月 ベースメイク シミ・クマ消しコンシーラー
7月 マスカラ
8月 口紅
9月 洗顔料
10月 クレンジング剤
11月 化粧水・美容液
12月 クリーム
1月 UV防御化粧品←次回
2月 ヘアケア化粧品
3月 化粧品の使用感評価のまとめ