トピックス2023.03.08
2022菅沼薫のワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」
(11)ヘアケア化粧品
今回は、ヘアケア化粧品(シャンプー、コンディショナー)の使用感評価について考えてみましょう。コンディショナーは、ヘアコンディショナーともいわれ、その働きからヘアリンス、ヘアトリートメントも含まれます。
ヘアケア化粧品は、毛髪を健やかに保つための洗浄と保護を目的にした化粧品ですが、濡らした髪に塗布する、攪拌する、洗い流す、タオルドライする、乾燥するなどの一連の洗髪行動中に使用感が評価され、その段階ごとに好ましい感触が求められます。
さらに、乾燥後の毛髪の仕上がり感触が、ヘアスタイリング時や次の洗髪まで評価され続けるものですから、とくに注視されます。そして、シャンプーでは泡立ちの良さ、すすぎの良さ、コンディショナーでは髪への馴染みの良さ、浸透性、なめらかさ、しなやかさなどは、製品として基本的な性能として大切です。
ここで注意したいのは、毛髪の特性です。日本人の遺伝的優位性は直毛なので、直毛の方が多くいますが、生まれた時からまき毛の人も見受けられます。毛根部の構造が異なるために、頭皮から捩れ状態で生えてくるからです。また、加齢とともに毛髪の育成が悪くなり、ツヤがなくなり細くなるだけでなく、毛流れが悪いさらに細い毛も生えてきます。さらに、パーマやヘアカラーなどで髪質を大きく変えたスタイリングもされます。頭皮、頭髪の悩みは千差万別なので、悩み別になりたい理想の髪質を知り、その仕上がりになるようなヘア化粧料が求められます。
日本人の美髪のイメージ(ひな人形の髪型)
試験では、ヒトの毛束を使ったり、モニターによる使用試験を行ったりします。毛束試験には、健康毛だけでなく、様々な損傷毛束も用意すると良いでしょう。損傷毛はパーマ、ブリーチ、洗髪、乾燥の連続した物理化学的処理の回数で、軽度から重度の毛束が作成できます。
評価は、官能評価だけでなく、機器測定やSEM撮影、毛糸や羽根等のモデル試験なども行い、違いが見てわかる評価になるよう工夫してください。
【客員教授 菅沼 薫】
ヘアケア化粧品(シャンプー、コンディショナー)の評価項目
■シャンプー
内容物の硬さ・手に取りやすさ
塗布時の広げやすさ
泡立ちの速さ
泡立ちの量
泡のコシ
泡のなめらかさ
すすぎ時の泡切れの良さ
すすぎ時のきしみのなさ
すすぎ後の髪のなめらかさ
■コンディショナー(ヘアリンス、ヘアトリートメント等も含む)
内容物の硬さ・手に取りやすさ
塗布時の広げやすさ
髪へのなじみやすさ
すすぎのしやすさ
すすぎ後の髪のなめらかさ
すすぎ時の髪のやわらかさ
乾燥後の髪のしっとり感
乾燥後の髪のしなやかさ
乾燥後の髪のなめらかさ
スタイリングしやすさ
髪のボリューム感の良さ
参考1)日本化粧品技術者会SCCJ化粧品用語集
参考2)ハルメクWEB 菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法
★官能評価法は、客員教授ブログワンポイント講座「化粧品の官能評価」を参照ください。
■2022年度ワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」掲載予定
4月 はじめに 化粧品の使用感評価の考え方
5月 ファンデーション
6月 ベースメイク シミ・クマ消しコンシーラー
7月 マスカラ
8月 口紅
9月 洗顔料
10月 クレンジング剤
11月 化粧水・美容液
12月 クリーム
1月 UV防御化粧品
2月 ヘアケア化粧品
3月 化粧品の使用感評価のまとめ←次回(3月末ごろに)