トピックス2023.03.18
顔学トピックス いい顔とは何か? 一緒に考えよう
いい顔とは何か? 一緒に考えよう
3月14日の顔学オンラインサロン(第44回)は、「いい顔」とは何かということをテーマに、工学、心理学、哲学、人類学、動物学、化粧学などの多様な視点の4人の討議者と、参加者とともに一緒に考える会になりました。問題提起者として、2代目会長の原島 博先生(東京大学名誉教授)、討論者として副会長の阿部恒之先生(日本顔学会副会長、東北大学教授)、監事の馬場悠男先生(国立科学博物館名誉研究員)、そして私、菅沼薫(日本顔学会会長)も加わり、10分程度それぞれが話した後、参加のみなさんと楽しく意見交換しました。
まず、私から美容業界の顔分析とメイク指導法についてお話ししました。顔の特徴は平均顔(各社の標準顔)からのズレを基に、個人がなりたい印象に沿うようメイク指導しており、メイクでいくらでも印象は変えられることを示し、「いい顔」とは喜びや幸せな笑顔(和顔)と提案しました。
阿部先生は心理学、哲学をベースにご自身のお気に入りの顔遍歴から、これまで魅力的と感じた顔は、年齢、性別、人種に関わらず、「牽引力のある顔」=「心を引き寄せる顔」が「いい顔」と思うとのことでした(図1)。
馬場先生は人類学者としての多彩な経験から、顔は生きるために存在し、係わりの中で多様な表情が生まれるもので、「いい顔」は一つではなく、心が素直に表れる顔、仏の顔、寝た子の顔、人間関係をよくする顔、魅力的な顔、目力がある顔、生き抜くことが出来る顔など多様で、何がいいと感じるかは、社会背景によって変わりうるだろうとまとめられました(図2)。
サロンの締めくくりに、原島先生から「いい顔」とは、「また会いたいと思わせる顔」なのではないかというご提案があって、会場も「いいね!」という雰囲気に包まれました。
「いい顔」については、さらにいろいろな分野の方の話も聞きたいということで、討論者を代えて「いい顔」テーマで再度サロンを開催しようということになりました。
次回のサロンは、歯学解剖学者の中島功先生より話題提供していただきます。いろいろな事情で歯を失うと、大きな顔貌の変化が生じます。日頃のケアの大切さに気づく回になるかもしれません。またまた興味深い内容になると思います。ぜひご参加ください。
【客員教授 菅沼薫】
■次回【顔学オンラインサロン(第45回)のお知らせ】
テーマ:なぜ歯がなくなると老人性顔貌になるのか
日時:2023年4月11日(火)20時から(1時間半程度を予定)
会場:Zoomというオンライン会議システムを用いておこないます。
話題提供:中島 功(昭和大学歯学部口腔解剖学講座客員教授)
趣旨:歯が失われると、オトガイ部が突出したり鼻から下の長さが短くなったりするなど、老人性顔貌と呼ばれる形態になります。そのような変化を起こす顎骨の変化について筋肉、顎関節も含めて考えます。
■ 「顔学オンラインサロン」は、毎月1回火曜日の夜20時から90分、オンラインZoomで開かれています。日本顔学会の会員でなくても無料で参加できます。「顔」に関する様々な話題提供者の話を視聴したあと、参加者同士気軽に意見交換することができます。みなさまもぜひご参加ください。