トピックス2023.04.18
なぜ歯がなくなると老人性顔貌になるのか
顔学オンラインサロン(第45回)は、4月11日(火)20時から「なぜ歯がなくなると老人性顔貌になるのか」というテーマで、口腔解剖学者の中島功先生(昭和大学歯学部口腔解剖学講座客員教授)にご登壇いただき、40名ほどが参加しました。(図1)
歯が失われると、オトガイ部が突出したり鼻から下の長さが短くなったりするなど、老人性顔貌と呼ばれる形態になります。そのような変化を起こす顎骨の変化について筋肉、顎関節も含めて写真や図を多用して丁寧にご説明いただきました。
下顎骨は固定されているわけではなく、下顎頭に丸みがあることで関節結節の奥にある凹部にはまり意図的に動かすことができること、また、下顎は側頭筋(前部、中部、後部筋束)や咬筋によって支えられていることが画像でよく理解することができました。(図2、3)
参加者からは、歯がなくなるとなぜ顎骨まで小さくなるのか、最近第二大臼歯が正常ではなく横向きに生えたりするトラブルがあるが、子供たちのあごが細くなっているのではないのかなどの質問がありました。現代の食事は軟らかいものが好まれ、固いものをしっかい噛む習慣が少なくなると顎骨の発達に影響があり、あごが後退して細くなる傾向にあるそうです。「上下の歯でしっかり噛むことが大事!」と強調されていました。
このように、顔の表面からではわからない骨や筋肉のことを詳しく知ることができ、学びの多いサロンとなりました。次回の顔学オンラインサロン(5月9日)は、東洋・日本美術史をご専門とされている東北大学の長岡先生に、仏像のお顔についてお話いただきます。3月のサロン「いい顔とは」で仏像の顔についても話題が出ておりました。仏像の顔を詳しく知りたいという方も多いと思います。日本顔学会会員の方はもちろん、非会員の方も参加できます。
【客員教授 菅沼薫】
【顔学オンラインサロン(第46回)のお知らせ】
日時:2023年5月9日(火)20時から(1時間半程度を予定)
会場:Zoomというオンライン会議システムを用いておこないます。
テーマ:仏像のいいお顔
話題提供:長岡 龍作(東北大学大学院 文学研究科総合人間学教授)
趣旨:「仏像のいいお顔」は、3月14日の第44回オンラインサロン 「いい顔とは何か? 一緒に考えよう」 の討議の中で話題になった仏像の顔について、専門の先生をお招きして深めていきます。長岡先生の解説を聴く前と後に、どのように「いいお顔」は変化するのでしょうか。参加者の皆様での「いいお顔の仏像」選挙を実施します。
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