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Cosmetic Science

客員教授からの
お知らせ

トピックス2023.05.22

東京理科大学オープンカレッジ講座で「化粧品とビジネスアライアンス」の講義をしました

今年も東京理科大学オープンカレッジビジネス講座の講師を引き受け、5月21日(日)に「化粧品とビジネスアライアンス」のタイトルで講演を行いました。昨年に引き続きハイブリッド発信ということで、現場(飯田橋)に足を運ぶこととなりましたが、日曜日ということと、下火になってきたとは言え相変わらずのコロナ感染への懸念も相まって会場参加はお二人で、他10数名の受講者はオンラインでのご参加でした。ただし、今年は発表中のマスク着用を免除していただいたので楽に発表ができました。

昨今、同業者や異業種とのコラボ(アライアンス)を通じ、より斬新なイノベーションを生み出そうという試みはあらゆる業界で当たり前のように実践されています。今年の私の講義では、アライアンスを成功させるための基礎的な座学よりも化粧品業界における公知の成功事例にウェイトを置き、その成功の原因となったポイントにつき解説しました。

そうは言っても、アライアンスは、プレーヤー間でコラボしている事実すらも極秘事項である場合がほとんどなので、成功・失敗にかかわらず、その実例が公になることは稀です。一方で、受講者の方々は事例紹介を期待されているので、講義では、仮想のアライアンスを想定し、その場合当事者にどのようなメリットがありそうかを紹介しています。

例えば製薬メーカーは多少副作用があっても効き目の高い素材を常に求めていて、それ故どんなに安全であっても効き目の弱いものは商品化しないものです。一方、化粧品メーカーにとっては、100%安全であることが必須条件となります。したがって、製薬メーカーで、研究はしたが商品化しないまま眠っている素材の中には化粧品メーカーにとっては宝となり得るものもあります。逆に化粧品メーカーにとっては効果は高いにも関わらず安全性に不安があり眠っている素材が製薬メーカーにとっては宝になるかも知れないのです。ここに両者間(製薬メーカーと化粧品メーカー)のwin-winのアライアンスが成立する可能性があるのです。コロナの影響で研究開発費が以前ほど潤沢でない会社も多く、今後、さらにアライアンスを活用していくべきではないかと思っています。

 なお、今週の5月27日(土)は、南野先生が「化粧品の科学技術史」、826日は菅沼先生が「化粧品の評価」で、同じ東京理科大のオープンカレッジで講義されます。是非ともご視聴ください。(神田不二宏)

東京理科大 オープンカレッジ
東京理科大学オープンカレッジ (my-class.jp)

  ■2023/05/27(土)  13:00~14:30
化粧品の科学技術史 ―日本処方のルーツを辿るー  講師:南野美紀
(講義概要)明治以降の日本の近代化粧品は、時代の変化とそれに伴う消費者嗜好の変化に合わせて、次々と新しい化粧品を生み出し発展し、日本独特の化粧品文化を作り出してきました。本講座では、日本における近代化粧品の歴史的変遷を具体的な事例を交え紹介し、新しい化粧品技術がどのような経緯で生まれるかを紐解きます。ヒット商品が生まれる必然性と偶然性を知るとともに、日本の化粧品処方の強みを考えます。

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 ■2023/08/26(土) 13:00~14:30 
化粧品の評価  講師:菅沼薫
(講義概要)化粧品の目的は、健やかな皮膚の維持と美しく整えることにあります。健やかな皮膚あるいは肌は、適度な潤いがあって、ツヤや透明感があって、肌色にムラがなく、ニキビやシミ、シワがない状態といえます。化粧品を使って、そのような理想的な肌になっているかどうかは、角層の水分量、皮脂量、弾力、光学的な色、形態などを非侵襲的な計測で比較することができます。また、化粧品は継続して使用されるものですから、心地よい使用感が求められます。使い心地は機器測定では難しく、官能評価と言って人の感覚による評価が主流になっています。評価項目や手順など、正しく官能評価するためのコツがあります。さらには、メイクアップ化粧品のように、仕上がりの良さを評価するときの注意点もあります。製品ごとの違いや実験結果を可視化することにも工夫がされています。それらの実例をあげて、分かりやすく講義したいと思います。

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