トピックス2022.05.13
顔学トピックス
あなたは知り合いとの会話をどう始めますか?
〜人同士の会話はどう始まるか〜
今月の日本顔学会「顔学オンラインサロン」は、今年3月まで東京電機大学の教授でいらっしゃった武川直樹先生に話題提供していただきました。武川先生は、これまで対面の会話、視線一致映像会話装置、オンライン会議Zoom、ヴァーチャルオフィスoVice、VRなど様々なツールを利用した会話を観察されています。また、通信におけるコミュニケーションについて、工学者として社会のニーズに応えるべく研究を続けて来られました。
今回の話題は、初めて会った人との会話はどのように始まるのか、それがオンライン上であるならばどうなっているのか、その違いを研究された結果からお話しいただきました。
実際に出会って会話を始めるには、近づき、顔を向け、お互いに視線を交わしたり、手を上げたり、呼びかけたり、会話が始まるためのそれなりの手順があります。また、会話がしやすい円形の位置関係F陣形(Kendon)という空間ができることが知られているそうです。
オンラインのような遠隔システムでは、PCカメラの位置と見ている画面が異なるため相手との視線が合いません。視線が合わないので、相手の表情が読み取りにくく、雰囲気も感じにくくなります。それを改善するために、カメラとハーフミラーを使って視線一致システムを開発されたそうです。それを使うことで相手と視線を合わせて会話ができるため、スムーズに意思疎通することができるようになったそうです。
また、ヴァーチャルオフィスoViceという遠隔システムなら実際と同様の手順で会話が始まっていることが分かったそうです。oViceは、キャッチコピー「となりで話しているような、バーチャル空間を」というように、話したい人同士が集まることが出来、自然発生的に会話ができることから実際に目の前に人がいなくても会話、コミュニケーションが円滑にできるシステムだそうです。
ところで、遠隔システムでも講義やセミナーでよく使われるZoomなどは、主催者側の一方的な情報提供には便利ですが、質問も会話もすべての人に聞かれてしまうことから、参加者同士のコミュニケーションは生まれにくいですね。
遠隔システム、オンラインでの活動が増えて、その便利さも実感できていますが、リアルなコミュニケーションが嬉しい気もします。それでも人は自ら工夫して意思疎通をしています。いろいろな事例を紹介していただき、コミュニケーションにはなにが大事かを考えるサロンになりました。
さらに、サロンならではのフリートーク時間には、オンライン講演などで顔を出し続けて話すのはリアルより疲れるのはなぜか、視聴者の顔が見えた方がいいか、見えない方が話しやすいか、意見を言う時に顔を出すか出さないかなど、様々な意見や感想が出て、オンライン交流が増える今日、新しい顔の在り方の研究が生まれそうな気配を感じました。
次回の顔学オンラインサロンは、6月14日火曜日20時より
テーマ:男性の魅力とメーキャップ
話題提供:竹原卓真(同志社大学)「顔魅力と男性の魅力」
阿部恒之(東北大学)「男性のメーキャップ」:
旬の話題となりそうな、男性の魅力とメーキャップについて二名の演者が最新研究をお話しし,議論します。
「顔学オンラインサロン」は、毎月1回火曜日の夜20時から90分、オンラインで開かれています。日本顔学会の会員でなくても無料で参加できます。
「顔」に関する様々な話題提供者の話を視聴したあと、参加者同士気軽に意見交換することができます。みなさまもぜひ参加してみてください。
客員教授 菅沼薫