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Cosmetic Science

客員教授からの
お知らせ

トピックス2022.08.30

2022菅沼薫のワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」

(5)口紅

口紅は、油性原料に色素や顔料の色材を練りこんで造られたもので、顔立ちを際立たせ、魅力を増すメイクアップ効果の高い化粧品です。触感感覚に優れ、刺激に敏感な口唇に使用されるので、その使用感は十分に吟味する必要があります。

そこで、使用感の評価項目も多肢に渡ります。ヒトの感覚で評価する官能評価を実施することはもちろんのこと、機器測定や各種のモデル試験を行って、見える化も工夫しましょう。

口紅の評価項目とモデル試験法

口紅の評価項目

■口紅の評価項目とモデル試験法

 のびの良さ(なめらかさ) 前腕内側に描いて確認、KES表面試験機(摩擦係数)の測定など

 つきの良さ(密着性)   前腕内側に描きマイクロスコープで確認

 発色の良さ         前腕内側等に描いて現物の色と比較する

 ツヤの良さ         前腕内側等に描いて北窓光を当てて確認

 透明感           すりガラスに描いて光透過を確認

 ムラのなさ         淡い色の人工皮革に描いて確認

 ベタツキのなさ      前腕内側に描いて軽い羽毛などを乗せて張り付きを確認

 持ちの良さ(持続性)   前腕内側または人工皮革等に塗布後、圧擦りを繰り返す

 耐水性・耐油性      前腕内側または人工皮革等に塗布して、水、油を滴下する

 色移りのなさ        カップなどに色移りするかどうか確認

 うるおい持続性(保湿性) 乾燥で表面状態が変化する食材(餅、果実)等に塗布し経過観察

 クレンジングしやすさ    前腕内側に塗布しクレンジング洗浄する

参考1)日本化粧品技術者会SCCJ化粧品用語集 口紅[lipstick rouge]

参考2ハルメクWEB菅沼薫の美容講座「年齢肌を美しく見せる!口紅の色選びと塗り方」

★官能評価法については、ワンポイント講座「化粧品の官能評価」を参照ください。

 

2022年度ワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」掲載予定

4月 はじめに 化粧品の使用感評価の考え方

5月 ファンデーション

6月 ベースメイク シミ・クマ消しコンシーラー

7月 マスカラ

8月 口紅    

9月 洗顔料  ←次回

10月 クレンジング剤

11月 化粧水・美容液

12月 クリーム

1月 UV防御化粧品

2月 ヘアケア化粧品

3月 化粧品の使用感評価のまとめ