トピックス2023.02.10
2022菅沼薫のワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」
(10)UV防御化粧品
今回は、UV防御化粧品の使用感評価について考えてみましょう。
UV防御化粧品は、紫外線防御剤として紫外線吸収剤または紫外線散乱剤が配合されています。紫外線吸収剤は一般的に有機化合物で、特異的な波長域の紫外線を吸収して熱などのエネルギーとして放出します。紫外線散乱剤は一般的に無機化合物の超微粒子の粉末で、代表的なものに酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどがあります。
紫外線防御効果を示すSPF値やPA値の測定時には、「試料の塗布量は2mg/cm2あるいは2μl/cm2 とする」とされ、顔の表面積を考えると、小豆粒大6個程度を塗布することになります。このようにUV防御の十分な効果を得るためには、厚めに塗ることが勧められています。
UV防御化粧品の形状はさらっとした液状、クリーム状、ジェル状などです。紫外線防御のためには、皮膚に均一に塗布できることや厚く塗っても自然な肌の色に仕上がること、経時しても違和感のない皮膚感もが求められます。さらに洗浄時には落としやすさも評価されます。
使用感の評価項目は、クリームとほぼ同様ですが、UV防御化粧品特有の項目も必要です。内容物の硬さや伸び、広がり、肌の色の変化、耐水性、擦れにくさ、洗浄時の落ちやすさは視覚的にも比較することが出来ます。時間的に変化する皮膚感は官能評価が相応しいといえます。以下に示す評価項目を参考に使用感を評価してみましょう。
使用感の評価項目はUV防御化粧品特有の項目も必要です。
次回は「ヘアケア化粧品」の評価について考えていきます。
【客員教授 菅沼薫】
■UV防御化粧品の評価項目(紫外線防御効果以外の使用感)
内容物の手に取りやすさ
広げやすさ
のびのよさ
なめらかさ・均一性
べたつきのなさ
塗布後の肌のうるおい感
肌のさっぱり感
違和感のない皮膚感
肌の色の自然さ
耐水性
擦れ強さ
洗浄時の落ちやすさ
図:広げやすさ、耐水性(水滴投下)風景 簡易試験でも特徴がわかります。
参考1)日本化粧品技術者会SCCJ化粧品用語集
日本化粧品工業連合会SPF測定法基準
参考2)ハルメクWEB 菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法
★官能評価法は、客員教授ブログワンポイント講座「化粧品の官能評価」を参照ください。
■2022年度ワンポイント講座「化粧品の使用感評価法あれこれ」掲載予定
4月 はじめに 化粧品の使用感評価の考え方
5月 ファンデーション
6月 ベースメイク シミ・クマ消しコンシーラー
7月 マスカラ
8月 口紅
9月 洗顔料
10月 クレンジング剤
11月 化粧水・美容液
12月 クリーム
1月 UV防御化粧品(掲載が遅れまして失礼しました)
2月 ヘアケア化粧品←次回
3月 化粧品の使用感評価のまとめ