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Cosmetic Science

客員教授からの
お知らせ

トピックス2023.04.03

メンズスキンケアの明るい未来

1月7日に本ブログにアップした米国の化粧品関連雑誌 Cosmetics & Toiletries (C&T)2022年グローバルコスメトレンド続編の中で紹介したように、男性化粧品はトップ5からは漏れたものの、次点の一つとして示されていました。その後、C&Tでは「メンズスキンケアの明るい未来」と題したトレンドが掲載されましたので、今回は、その要約を紹介させていただきます。

英文記事はこちら➡ Trending: The Bright Future of Men’s Skin Care

1月のブログでも触れましたが、マーケットリサーチ会社のFuture Market Insights (FMI) の予測では年々の二桁成長の末2029年にはグローバルなメンズスキンケア市場は2834万米ドル(約38億円)までに到達するようで、Z世代向けの花王のUnlicsのような男性用ブランドがそのトレンドの後押しをしていると述べられていました。この数字(2834万米ドル)自体意外に少ない気もするのですが、もともとボリュームの小さいカテゴリーだったとするとその伸長度はかなり大きいものと言えるのでしょう。

今回ご紹介する記事では、このメンズスキンケアの台頭の大きな理由として、スキンケア化粧品の利用が健康と密接に結びついていることがわかってきたことにあると述べています。また、男性の利用に特化したスキンケアの登場や男性有名人と関連づけたブランドがスポットライトを浴びていることもその要因とのこと。例えばdouxds社のWAR Face Washは男性専用として開発され、毛穴を洗浄することによりアクネや髭剃りによるブツブツを防止することを目的としており、人気商品となっているようです。男性の肌は女性と比べ厚く脂っぽく髭剃りに対するケアが必要なことからもWARのような男性に特化した商品が必要となるのでしょう。

 また最近のジェンダーレスの化粧品の登場に合わせて、男性も化粧をするものとの考え方が受け入れられるようになってきたとも述べています。この流れをC&Tinclusivity(包括性、排除せず受け入れようとすること)と表現しており、これこそがあらゆる人のための化粧品の提供に拍車をかけ、男性化粧品やジェンダーレス(gender-neutral)化粧品の繁栄につながっていると結論づけています。

 1980年代の初期に私が化粧品技術者としてのキャリアをスタートさせたとき、素人考えで男性も化粧をするように仕向ければ会社の売上は倍増するのではないか?と言ったところ一笑に付されたのですが、まさに40年後にそのような時代が訪れつつあることは感慨深いものです。(神田不二宏)