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Cosmetic Science

客員教授からの
お知らせ

トピックス2023.02.24

都産技研SUSCARE主催「日本コスメをグローバル市場へ」webセミナーが無事終了しました。

先月のトピックスで南野先生が予告された、都産技研(東京都立産業技術研究センター)のSUSCARE(ヘルスケア産業支援室)主催の海外展開支援セミナー「日本コスメをグローバル市場へ」130日(月)に開催され無事成功裡に終了しました。 セミナーの前半は3人の講師による20分ずつの講演(第1部)、後半はパネルディスカッション(第2部)という構成でした。

第1部の講演内容
・「日本コスメの強みを考える ”世界が認めたその技術力!”」 神田 不二宏
・「日本コスメを海外展開するために知っておくべきグローバル規制」 福井 寛 氏
・「中国市場を考える 日本の化粧品の光と影」 楊 建中 氏

 第1部は、後半のパネルディスカッションのために日本コスメを取り巻く現状の整理をするための講演という位置づけで、トップバッターとして私から、日本の化粧品の技術力が世界でどのレベルにあるのかについてお話しました。歴代のIFSCC(国際化粧品技術者会連盟)の世界大会での発表及び受賞実績をもとに客観的かつ定量的に評価し、日本コスメの技術力は質・量ともに世界のトップレベルにあることを理論的に紹介しました(詳しい内容は別のブログで!)。

次に都産技研専門アドバイザーの福井寛氏から、化粧品に使える成分の規制のみならず化粧品の定義すら国によって異なり、日本では化粧品である商品が別の国では医薬品になることもあること、また世界的にみると日本の化粧品規制は総じて緩いことから、日本で製造・販売している時には全く問題なく市場での評価も高い商品であっても、必ずしもそのまま海外で展開できるとは限らないので注意が必要である旨のお話をされました。

 アンカーとして登場された日中化粧品国際交流協会理事長の楊建中氏は、中国人の視点ならではの貴重なお話をしてくださいました。中国で日本コスメの品質の良さは認められているものの、中国人のニーズを十分捉えきれていないという現実の問題点も指摘されました。それを踏まえ、中国と日本の双方の強みが嚙み合えばwin-winの日中共創関係が持続的に構築できる筈であると締めくくられました。

そして後半のパネルディスカッションでは私も含めた講演者3名に加えて、化粧品成分の規格や規制について長年日本の化粧品業界に貢献しておられる高橋化粧品技術相談所の高橋守氏を加えた4名のパネラーが日本コスメについての理解を深めました。ファシリテーターは南野美紀先生がご担当されました。まず前半の講演に対してオンラインでご視聴いただいてる方々からの質問に回答する形で話が進み、更には韓国コスメ(Kコスメ)の台頭にどう立ち向かえば良いか、日本の規制や薬事に潜む問題点、中国への進出を後押しするためのアドバイスなど、数多くのトピックスを南野先生の巧みな裁きの中、熱い議論が展開されました。

企画当初はパネルディスカッションの間が持つのかどうか心配もしましたが、あっという間に1時間が経過し、パネラーの方々には「まだ喋り足りない感」が漂っていました。最終的に視聴者の方々にどれほどお役に立てたのかはアンケート結果を解析してみないとわかりませんが、私のところには「他所では聞けないリアルな話を聞くことができた」「こんなに突っ込んだお話を聴けるセミナーは初めてだった」など、嬉しいお言葉が届いています。業界で長年活躍しているベテラン勢が自らの経験をもとに熱く語った臨場感をご評価いただけたのではないかと考えています。本セミナーの聴講が、海外展開を考えているものの最初の一歩を踏み出すことに躊躇されていた方々の決断を後押しするための一助になれば、これに勝る幸せはありません。(神田不二宏)