トピックス2022.03.14
菅沼薫のワンポイント講座 「化粧品トレンド研究の基本」(12)トレンド予測力の養い方
(12)トレンド予測力の養い方
「化粧品トレンド研究の基本」も最終回となり、トレンド予測力の養い方とまとめをしたいと思います。
仕事でトレンド予測を行うのは、多くの場合、新製品開発に生かすことが目的だと思います。そこで、実際に商品開発に携わっていた先人たちの知恵を借りてみましょう。
長年大手家電メーカーで商品企画に携わり、現在もアドバイザーとして活躍されている武田学氏による「生活用品のマーケティング手法」は、「定点観測→深層洞察→創出」の手順で考えることだそうです。定点観測(市場、生活者の近未来トレンドと兆しを探索)し、深層洞察(生活者を絞り込んだ新たな欲求を探る)し、創出(トレンド・兆しのコンセプト化、具体化)することにあります。
この3つの工程において、それぞれに重要なものは何かの「気づき」です。得られたデータから何かを見つける、その「気づき力」というものがカギになります。
すべての人にこの能力が十二分にあるかは疑問です。同じデータをみて、未来を感じる人もいるし、感じない人もいる。料理に例えるなら、同じ食材が用意されていたとして、美味しい料理が作れる人もいますが、不味いものになってしまう人もいます。この能力は、生まれつき備わっているものではなく、経験や訓練が必要と思われます。つまり、「読み解く力」、「気づき力」を養う必要があります。
そのために基礎的な調査法や分析法を学ぶことは言うまでもありませんが、ただそれだけでは足りません。自分の軸をしっかり立て、動きを俯瞰できるようにすることです。そして、自由にアンテナを張り、異なる分野の人とも広く交流することです。
ある科学者が「クリエイティブは異質な出会いによって起こり、ぶつかり合いの場で鍛えられる。」と言っています。また、私たちホモ・サピエンスが現代まで生き残ってきた理由として3つの能力「知恵」、「コミュニケーション力」、「好奇心」があるからと言われています。その能力を最大限に生かせば、様々な研究やテーマにも立ち向かっていくことが出来ると思います。
「半歩先の気分を読む」というような、少し観念的な話になってしまいましたが、目まぐるしい変動する時代の流れをつかむには、日々いろいろなことに興味を持って真摯に取り組むことが大切です。
最後なので少し長文になりましたが、そして、伝えきれないこともまだまだ沢山ありますが、これで1年を締めくくりたいと思います。
化粧品を学んでいる学生たち、化粧品開発に携わっている研究者たちに少しでも応援が出来たらと思っています。「化粧品トレンド研究の基本」ブログを1年間お読みくださって、ありがとうございました。
次2022年度も「菅沼薫のワンポイント講座」を続けたいと思います。新テーマは、化粧品開発者に関心が高い「化粧品の使用感評価」について、化粧品アイテムごとに評価項目や評価手法を具体的にお伝えしようと考えています。知りたいことやご要望がありましたらお知らせください。
2022年3月11日東京池袋の駅近広場で「ウクライナ応援コンサート」が開催され、多くの市民が集まりました。ウクライナ国歌から始まり、ボレロなど東欧の音楽が奏でられ、世界の平和を祈りました。
2021年度「化粧品トレンド研究の基本」ブログ掲載したテーマです。
3月.トレンド予測力の養い方